見出し画像

バーモントカレー甘口からの脱却

昨日は、夕飯作る気になれなくて、いろいろ考えた末、カレーにした。

「あ、カレーじゃん。私、カレー大好き」

鍋を覗き込んで、娘は言った。
知ってる。
もう、百万回は聞いた。

そして『バーモントカレー甘口』のルーを割り入れながら私は思った。

いつになったら、この『バーモントカレー甘口』から脱却できるのだろう?

前回、甘口と中辛を混ぜて作ったら、けっこう普通に食べてたので、
「これから、これくらいの辛さでもいいよね?」
と聞いたら、娘と息子、二人して猛反対された。

結果、また、オール甘口に戻った。

そして、二人とも、安心したようにバクバクと食べている。

そういえば、私が小さい頃、母親が大鍋からわざわざ途中で取り分けて、小さな鍋に父親のために辛口カレーを作っていた。

うちは母親も働いていて、なんでも合理的に片付けていくタイプだったので、そういう特別扱いをすることは、とても珍しかった。

よほど、懇願されてのことだったのだと思う。
でも今なら、父親の気持ちがわかる。

私は自分のためにわざわざ別に作る気になれないので、『バーモントカレー甘口』に甘んじているけど。

昔、まだ、日本にいて、子供がカレーを食べられる年齢になって、初めてバーモントカレー甘口を作った時、

「なんじゃこりゃ」

と、いつも無表情な(元)旦那がめずらしく、感情を表に出した。

「あー、子供が食べられる用のやつだからね」

それまでカレーの時は、子供はレトルトのアンパンマンカレーか、プリキュアカレーで、大人用は、市販の辛口にさらにスパイスを足したりして作っていた。

そこから、なんの説明もなく、いきなりのバーモントカレー甘口へ強制移行。

2種類作るなどのの気持ちの余裕は、育児に疲れた私にはまるっきりなかったので、ギロリと旦那を見て、無言の圧力をかけた。

「これは......カレーじゃない、何かだな」

と言いつつも、きちんと完食していた。

           *

うちの子はもう、ティーンエイジャー。

もうそろそろ『バーモントカレー甘口』、卒業しても良くない?

良くない?

子供の嗜好から、そろそろ大人への階段を登って欲しい。
そしたら、家で大人仕様のご飯が食べられるようになる。

それに、ついでに愚痴らせて貰えば、子供たちは、なんてことない冷凍ピザか、ドミノピザとかのデリバリーピザが好き。

一度、職場近くにできたイタリアンピザのお店が、ピースごとのバラ売りしてたから、「これはいい!」と思って、めちゃくちゃいろんな種類の混ぜこぜにして、持って帰ったら、ぜんぜん食いつき悪くて、結局、ほぼ一人で食べることになった。

日本に帰った時も、いつもは新幹線が走ったりするファミリー向けの回転寿司が子供が好きだから行くんだけど、前回、ちょっと値段お高めだけど、土地の魚とかも扱っている回転寿司に連れて行った。

新幹線がないことで、すでに、わかりやすくトーンダウンしていた。

そして結局、サーモン、サーモン、マヨネーズコーン、サーモン、サーモン、卵って、地の魚、一切関係ない寿司ばっかり頼んでた。

でもこれは、元旦那も似たようなラインナップだったから慣れてはいた。

元旦那は、このラインナップにシメサバが加わる。なんか、カナダに似たような魚の酢漬けがあったから、馴染みがある味だとか何とか言ってた。

まあ、そうは言っても、私も小さい頃は、ウニとかフレッシュチーズとか嫌いだったし、もちろん、カレーはバーモントカレー甘口から出発した。

でも、今となっては、ウニは大好物だし、ワインにチーズ、なんて小洒落たこともたまにはするし、カレーもグリーンカレーまで美味しいと感じるまでに成長した。

でも、いつ、どんなタイミングで、食の趣味が変わったっていったのか、ちっとも記憶がない。

そういえば、カナダに来た当初は、ターキーに、クランベリーソース(クランベリーに砂糖を加えて煮詰めた、ジャムほど甘くはないソース)をかけて食べるのが、酢豚にパイナップル、と同じ感覚で苦手だった。

でも、今、普通に食べれるし、何なら、美味しいとも思う。

やっぱり『慣れ』なのか。

ということで、子供達にも早く、大人の味覚へ移行して欲しい気持ちはあるんだけど、良く考えたら、イタリアンピザとか、ウニに目覚められたら、こっちの懐は厳しくなってくるんだよな、ということに気づいてしまった。

まあ、もうしばらくは冷凍ピザと、100円回転寿司で満足していてもらった方がいいかもしれない。

〜終わり