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渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らない『銀河から車窓』 の感想
電車が遅延して女子高生3人は電車が動くまでおしゃべり。たわいない会話に銀河鉄道の夜が混じり、現実と空想の境界があいまいに。
岡田利規が総合ディレクターを務めた中高生ワークショップ に参加した中高生たちが旗揚げした劇団。今年の王子小劇場「見本市」に選出され『渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らないの外縁』を上演。現代性と幻想性を揺蕩う作風で存在感を見せた。(無料公開中、必見↓)
そんな恐るべき子供たちが挑んだのは銀河鉄道の夜。現代の女子高生が現実と幻想を揺蕩う 。清廉なイマジネーションだが、やがて死のイメージが影だけ現れる。ご存じのように銀河鉄道は死と生のはざまである。
渋谷/は、銀河鉄道という舞台よりも物語のこの面に注目し、女子高生たちが海に沈み入水するイメージを挿入。現実の彼女たちは電車が止まり駄弁りカラオケまねきねこに行こうと計画する。あくまでイメージ、でも生の周りを常にぐるぐる回る。
でも、楽しくしゃべる彼女たちが現実である確証なんてこの世のどこにもないんだけどね。
演出が抜群に上手い。眼科画廊の扉を電車ドアに見立てたり、プロジェクターを使って巧みに現実と銀河鉄道(と空想?)をシームレスに行ったり来たり。プロジェクターって使いやすい分使っただけで終わったりするのだがきちんとハザマがあいまいな作品のスイッチングとして機能していた。
演技はまだ発展途上。ラフな魅力の部分は素晴らしいが劇的な部分はまだセリを覚えて喋っている感がある。でも、リアルタイムの日本を生きる息遣いが演技から感じる。もしかしたら発展途上の今だけ感じられるものなのかもしれない。
銀河鉄道と女子高生のめんどい日常が混ざり合う脚本に、見事な演出。渋谷/もしくは/私/たち/は/何も知らないはメンバー全員10代らしい。すごい才能。