ゼロコ『ときわ座で作ったもの』 の感想
作・演出/ゼロコ【角谷将視・濱口啓介】(会場:ときわ座)
強風に抗う男達、穴から脱出、武道に読書に執筆にゲーム。様々なワンシーンを纏め、ときわ座での創作をダイジェスト
最近、演劇ファンの中でも注目が高まっているパントマイム デュオ。
これまでときわ座でいくつものライブを開催していたが、閉館ということで総まとめのときわ座傑作選。
シンプルなアイデア、分かりやすい展開、高度な技術を組み合わせたコントは老若男女誰でも笑える。
冒頭2篇は、風が吹いている、板で下半部を隠して穴に落ちたようにするパントマイムなどオーソドックスなマイムで笑いを引き出す。
ただ次の作品からは手からエネルギー球を生み出して割る、水中でタコに追いかけられながら読書のような漫画チックな面白さ。特に水中読書なんてカートゥーンっぽさを見事に身体で表現。
作品を描き直す作家の悪戦苦闘では、作家がドンドン煮詰まってそんなシチュエーションねぇだろというツッコミにハマっていく。
ここまでのゼロコは小洒落ているが、オタク友達との交流ではバカバカしいアイデアも盛り込む。
二人がやるレトロゲームは、バドミントン的ゲーム。ただし、シャトルではなくティッシュ。必死でティッシュを相手の陣地に落とそうとして(自分の陣地で落ちないように)熱戦。息だったり仰いだり。手持ち扇風機が役に立たないのは笑った。
それまで、真っ当にパントマイムをやってきたのにゲームになった途端、なんて原始的な。アホみたいなのに思わず身を乗り出して会場熱狂。
それでいてオタク少年二人の交流でほっこり愛嬌。
ラストは、ときわ座での初ライブから今日までの歩みを日付とライブ名を出して内容をダイジェストに。そのライブで行ったショートパフォーマンスで沸かせるが途中でトークイベントも開いているので唐突脱力の語りでテンポを崩す笑い。
しかし、どんどん最後の日(=今日)に近づくに連れ終わっちゃうんだぁという悲しみが。
ラストは、後片付けをして去っていく二人で、ゼロコとときわ座との別離でじんわり。 ありがとうサヨナラ。