やみ・あがりシアター『ベラスケスとルーベンス』
作・演出/笠浦静花(会場:Paperback Studio)
1628年、スペイン。若き宮廷画家ベラスケスは大御所画家にして外交官ルーベンスと出会う。最初は彼の言動に戸惑うも次第に彼の美学に惹かれていく。
女優二人による史実コメディ。ベラスケスとルーベンスの交流といういくらでもドラマティックに作れる出来事を、ゆる〜く見れるライトな味わいに仕立てる。でも、そこに画家の苦悩もまぶす。素晴らしい絵とは一体何なのか。画家の理想とは。のちの巨匠ベラスケスの、若くて青い苦悩を爽やかに仕立て上げて、若手と巨匠の友情譚に胸を熱くする。
この作品の特徴は、観客に台本が渡されて絵画として解説という名の絵画の声を代弁する。我々観客は絵画の視点で画家たちの物語を見る。
正直、観客参加以上の意味合いがなく必要性を感じないが読み上げるときの観客の和気あいあいした感じが楽しいし、観客としては台本を読むと100円キャッシュバック何でまぁ別にいいかなとなる。
ゆるい二人芝居を、流石のテンポ感で上演。
この作品の成功はなんといってもルーベンスを演じる木下祐子(ハイトブの会)。このルーベンス、まぁ上手い。
ドイツ人なのでスペイン語が不得手という役どころを飄々として妙な演技で表現。変な人にもなりかねないキャラクター性を軽薄にならずきちんとカリスマ性を感じさせる。
画家としてだけでなくきちんと、外交官としての厚みを軽さの中に感じさせる。上手くて面白い演技。