
政党を動物にたとえるアンケート
2024年10月の衆議院議員選挙に際して『毎日小学生新聞』が各政党に対してアンケートを行った。

政策が対照的な自由民主党と日本共産党が、なんと同じ動物を回答するなど興味深い点が多く、このアンケートはSNSで話題を呼んだ。
日本維新の会に対しては「馬耳東風という四字熟語もあるし、馬はまずいのでは」という声を見かけた。
公明党に対しては「ラーテルというマニアックな動物を回答していて遊び心が伝わってくる」という声があがっていた。
いずれにしても、自民党・立憲民主党・日本維新の会・公明党・日本共産党・国民民主党の6政党は大きな批判や揶揄がSNSで発生している感じではなかった。
主にSNSで批判や揶揄の対象となっていたのは、れいわ新選組・参政党(・社民党)であった。



れいわ新選組は無回答であり、9政党のうち無回答だったのは「れいわ新選組」だけだったため、「質問を質問で返すコミュ障」や「斜に構えることがカッコいいとおもってしまう厨二病早期罹患者に刺さる」などと揶揄の標的となっていた。
「質問を質問で返すコミュ障」は『ジョジョの奇妙な冒険』あたりが元ネタなのかなと思う。
自分は『ジョジョの奇妙な冒険』を殆ど読んでいないのだが、質問に質問で返すのを戒める画像は、そこそこの頻度で見かける。

この画像に対して、筆者は「確かに、話をはぐらかすために質問を質問で返すのは良くないよね」と感じる。
だが、そのうえで「回答が疑問文であっても、きちんとした回答になっているケースは存在するのではないかな」とも感じる。
たとえば、この「れいわ新選組」の回答文であれば、「その質問には回答しません。何故なら、この質問は読者層である小学生を馬鹿にしていると感じるからです。小学生の皆さんもそう思いませんか?」という意味だと読み取ることが出来る。
M(新聞社)「あなたの政党を動物でたとえるなら何ですか?」
R(政党)「その質問には回答しません。何故なら、この質問は読者層である小学生を馬鹿にしていると感じるからです。今このアンケート記事を読んでいる小学生の皆さんもそう思いませんか?」
つまり、MとRの間でコミュニケーションが成立していないという訳ではない。
もう一つ、事例を挙げる。

この老人は「人を殺す気か?」という質問に 「最初になりたいか?」という質問を返した訳だが、意味が通っており、コミュニケーションとして成立している。
回答が疑問文であっても、きちんとした回答になっているというケースは普通に存在しており、「質問を質問で返すのは良くない」というのは「話をはぐらかすために、そうするのは良くない」という意味なのだろう。
因みに、筆者は「子供でも政党へのイメージを持ちやすいように動物であなたの政党を喩えて下さい」という新聞社の意図も、「この質問は、読者層である小学生を馬鹿にしていると感じるため回答しません」というれいわ新選組のコメントも妥当だと考えている。
小学生新聞は小学低学年の子供も読むだろうので、子供でも親しみやすい動物をモチーフにしようという発想は自然である。
その一方で、「小学生であっても、消費税や憲法など具体的な内容のQ&Aをたくさん読みたいという小学生もいるはず。この質問は読者の皆さんをお子様扱いしているのではないか」という意見も間違っていないと感じる。
万人受けするコメントではないかもしれないが、「その質問には回答しません。何故なら、この質問は読者層である小学生を馬鹿にしていると感じるからです。今このアンケート記事を読んでいる小学生の皆さんもそう思いませんか?」という趣旨のコメントに好感や親近感を抱く小学生も一定数いるはずなのだ。
参政党に対しては、「架空の動物を回答するのは痛々しい」という声もあれば「ロゴにもなっている獣なのだから許容範囲なんじゃね」という声もあった。
個人的には「死を恐れず勉強」というワードが登場している社民党が最も万人受けしなそうに感じていたのだが、肝心の2024年10月の衆議院選で社民党は得票数を減らし、多くの揶揄を受けた「れいわ新選組」は大幅に得票数を増やした。

れいわ新選組は衆議院での議席数を3倍に増やしており、万人受けはしないかもしれないが、刺さる人には刺さる政党なのかなという印象を受ける。

『毎日小学生新聞』の政党アンケート第1問の「あなたの政党を動物でたとえるなら何ですか?」は、政党のカラーが反映されていると述べてきたが、個人的には「同じゾウを回答した自民党と日本共産党が両者とも得票数を減らしていること」が気になった。これは何か要因があるのだろうか。それとも偶然なのだろうか。そういった疑問が筆者のなかで浮かんでいる。