(インタビュー) 自分は人生の主人公、関わる社会もつくっていける クリパルヨガ教師・堀桃代さん
(冒頭の写真:公立中学校でヨガを紹介する堀桃代さん)
「Inside-out ~社会に関わるクリパルヨガ教師STORIES〜」では、日本で活躍するクリパルヨガ教師の1人を取り上げ、ヨガ実践としての社会への関わりについて、同じくクリパルヨガ教師の聞き手がインタビューした内容をご紹介します。
今回は、重度のトラウマと鬱の症状と依存症から回復した経験をもとに、精神疾患で苦しんでいる人の回復サポートを専門にながら、地域でのヨガコミュニティ(サンガ)づくりをミッションに活動している堀桃代さんです。ヨガの実践が、依存症の回復にどのように役立ったのか、また出産を経て育児にどのように影響しているのかなどをお伺いしました。
(写真:インタビュー時の様子。左は聞き手の西川真木枝、右が堀桃代さん。2021年1月28日。)
自分へ思いやりの心を育てる
(写真:2016年から始めた横浜の教室では、定期的なクラスと、季節ごとのリトリートを開催していた。クラスで一番大切にしていることは、『自分自身に対する慈悲』。)
---依存症と複雑性PTSD(心的外傷後トラウマ障害)の回復過程において、クリパルヨガやマインドフルネスに出会い、そこから同様の症状をもつクライアントに寄り添う「ヨガセラピスト」になった堀桃代さん(以下ももさん)。今日はその過去から繋がる現在、未来の話まで聞かせてもらいたいと思います。よろしくお願いします。
「 どうぞよろしくお願いします。 」
---まず個人的な興味からですが、「依存症」について教えてください。
「一般的に『依存症』と聞いてイメージするのはお酒や薬やギャンブルだと思いますが、依存症というのは行動パターンでもあるので、何に依存するかはその人によります。 私の場合は、仕事(による達成)と人(をコントロールしようとすること)の依存が強く、さらに、お酒や食べ物への物質依存が強くありました。」
「20代の頃は再生可能エネルギーのベンチャー企業に勤めていて、どんなに身体が辛くても深夜まで仕事をしたり、たまにお酒を飲むと正体不明になったり。自分の理想を、仕事に強く投影していたと思います。理想や目標を達成するためなら、自分を犠牲にして当然だと思っていましたし、同僚にも同じ行動を求めていましたね。頼られることや評価されることに頼る="共依存"的な行動パターンも強かったです。」
「依存する対象はさまざまですが、共通してその根底にあるのは、心の"不安"や"怖れ"です。欠点も良いところもある不完全な自分にOKが出せず、怖い怖いと思っているから、そこから逃避するために、ますます依存対象…仕事、人間関係、快楽物質(お酒や食べ物)などにすがりつきます。その原動力となる"恐れ"に気づかず、無意識のうちに行動はエスカレートしてしまうのです。 依存症やPTSDの話は、具体的な例がある方がピンとくると思うので、ぜひ私の過去のブログ記事を読んでみてくださいね。」
(写真:タイのプラムヴィレッジ僧院でヨガクラスをするももさん)
---依存症からの回復に、クリパルヨガやマインドフルネスはどう役立ったのでしょうか。
「そうですね、クリパルヨガやマインドフルネスは『慈悲(思いやり)』の心を大切にします。他者への思いやりももちろんですが、まず自分への思いやりが重要です。当時の私に決定的に欠如していたのは、『自分に対する慈悲の心』でした。 育ってきた環境においても、自分自身を慈しむという視点や、主体性を尊重し合うような関係性がなかったため、自分を大切にするための脳の回路が全くできていなかった。 そこから人生の再スタートでした。」
「マインドフルネスやクリパルヨガを学ぶことで、すべてのエネルギーを自分のために使って、強制的に自分をケアするトレーニングをしたのです。TVやインターネットでニュースなどを見ると、他人や社会を変えようとエネルギーを注ぎたくなるので、外の情報はすべてシャットアウトして。まるで入院するか、一人でリトリートをしているかのようでした。 」
「弱者に対する共感とか、他人に対する慈悲の心は、子どもの頃から自分の中に強くあったものです。アフリカの子どもが飢えで苦しんでいるのにどうして自分は平穏に生きているのだろう、と憤るような子どもでした。 その想いの延長線上に、世界平和と地球環境のためには、再生可能エネルギーへの転換が有効だと考え、そのツールとして、前職の再生可能エネルギーの普及を使命として取り組んでいた経緯もありました。」
「しかし、自分を大切にするという軸が全くなかったために、その関わり方がとても自分や他者に対して暴力的で、結果的に対人関係のトラブルで、心身を壊してしまいました。 」
「人間の生命力ってすごい」:産後精神病から学んだこと
(写真:寝たきりの状態で退院して3週間後。毎日のヨガ実践により3週間で60%くらい回復したももさん。)
---ヨガや瞑想によるセルフケアは、他人や社会に心が向きがちなももさんにとっては、「トレーニング」だったのですね。そこから「ヨガホーム横浜」という地域のヨガ教室を立ち上げ、個人セッションでは、鬱やPTSDなどの辛い症状を抱える方に寄り添ってきました。しかし、その先にまだまだドラマがありましたね。
「2018年8月、39歳で出産したのですが、その直後から極度の不眠、不安、恐怖など精神異常が発生し、産後10日目にして緊急入院し、1か月以上の入退院を2回繰り返しました。のちに、1000人に1人が発症する産後精神病だと分かりました。その間、赤ちゃんのお世話はできないため、静岡の義母に頼って、私は入院も含めて治療に専念したのですが、結局回復しないままに、その年の12月に退院することになります。」
「産後で辛かったのは、それまでの私がヨガの実践で学んだ生命エネルギー(プラーナ)*1 を巡らせるためのあらゆる手段が使えなかったことです。腹筋はゼロで、腹式呼吸ができず、骨盤もガタガタなので、足腰を使った力強いポーズもできない。頭に気がのぼってしまって、アーユルヴェーダ*2でいうヴァータ(風)が増えすぎている状態でも、グラウンディングするための術がなかったのです。 」
「一呼吸一呼吸が、なにしろ辛い。 こんなに生きているだけで辛いならば、いっそのこと自分を安楽死させてあげたいと願うほどでした。"死にたい"というのは感情。感情は、私自身ではない自然物。感情のために死んではいけない。ヨガやマインドフルネスの実践で培ってきた脳の『気づきの回路』は機能していましたが、極限の精神的肉体的苦痛はとても耐えがたかったです。24時間ケアが必要な人が、自分と子どもの二人もいる!!そう思うと、ますます絶望しましたね。」
「2018年12月の退院時もその苦痛は変わりませんでしたが、そのときは産後4か月。身体はだいぶ回復していて、あるとき"ヨガ(アーサナ)をしてみよう"と思ったんです。 まずは寝たきりの状態から、呼吸法を始めました。 そして、布団に寝たままでできる陰ヨガ*3をして。 朝起きて廃人のような状態から、立位になるまで1時間ぐらいかかるのですが、毎日毎日、90分くらい、死にたい死にたいという感情と共に、ヨガしていました。ちょっと客観的に考えると可笑しいんですが。感情はあくまで自然現象として発生しているものなので、特に戦うこともなく、そのままにして、やるべきことを淡々と続けました。」
「そうすると、毎日の起床時の活動レベルのベースが徐々に上がってくるんです。もう朝起きて、『死にたい』と思わなくなる。少しなら子どもと遊んだり、オムツを替えたりできるようになってくる。そうやって、なんと3週間後には、感覚的に60%くらいは回復したんですよ。自分の実感ですけれど。2019年1月には家族と初詣や外食に行ったりもできました。 」
(写真:精神科退院から6ヶ月後。毎日のヨガ実践により、産後精神病からほぼ回復した頃のももさん)
---すごい体験をされましたね。この経験を経て、ももさんは何を学びましたか?
「(しばし考えてから) ひとえに、『人間の生命力ってすごい』ってことです。多くの人が、生命の力を引き出すやり方を知らないのですが、身体の調子に合わせて無理なく積極的に生命の力、プラーナを引き出して、巡るようにすれば、生命はちゃんと応えてくれる。 ヨガや瞑想の実践のパワフルさを、この経験をもって改めて確認できました。 私たちの中に、力はあるんですよね。例えどんなにひどい鬱状態にみえても。 生命は生きたがっている。 生命のエネルギーは自分が思っているようなもんじゃない、と思いました。」
「PRYT(フェニックス・ライジング・ヨガセラピー)*4の個人セッションを通してPTSDや鬱の症状の方のサポートをしてきましたが、酷い時の私ほど重い症状の人にはまだ出会ったことがありません。だから、どんなに大変な症状の人でも、ほとんどの人は回復すると確信できます。これは、私のセラピストとしての最大の強みだと思います。人の回復を心から信じられる。つい先日まで個人セッションしていた方も大変な状態でしたが、服薬やカウンセリングでは何年も回復しなかった鬱や不安の症状が、3か月くらいの実践で自然となくなりましたよ。私は驚きませんが、その方にとって、確実に人生を変える経験になったと思います。」
「この産後精神病の経験を経て、、、少し経ってから感じたことですが、指導者として試されているな、と思いました。より一層、生命への信頼感が増しました。 」
育児でも「自分の無力を認める」から出発する
(写真:育休期間には、静岡県菊川市の自宅で週1回のママのためのおしゃべりサロンを開いて、ワンオペ育児の孤独から自分を救っていた)
---そうして激動期を経て生まれたゆうたくんは、もう2歳ですね。子育てではこれまでの実践や経験が役に立つことはありますか?
「子どもって特殊な存在、新しい存在です。まるで自分のことのように慈しんでしまうけど、生命体としては自分じゃないから、疲れ果てて枯渇してしまうこともありました。自他の境界線があいまいになりがちなことは確かですね。」
「1歳半くらいのときかな、まだ言葉がしゃべれない時期がいちばん大変でした。
夫は出張で平日5日間不在の中、育児の手の抜き方もわからなくて、テレビや動画も一切見せず、離乳食もぜんぶ手作りで。今考えると頑張りすぎだけど、当時はわからなかったですね。 ある日の午前中に、ゆうたが観葉植物の葉っぱをとったり、土を投げたりするのを何度言っても繰り返すのが許せなくて、『1分間タイムアウト!』って廊下に締め出したことがあったんです。まだ分からない年齢なのに、私も切羽詰まって、他に方法が分からなくて。『ママ、ママ』ってゆうたは当然泣いてて、私はすごく嫌な気分になりました。この方法は有効じゃないから、もう絶対にやめようと決めたんです。 それなのに…、その日の午後も同じことをやってしまって!!! 」
「それで、気づいたんです。『
あ、私、限界超えてるな』と。
衝動として抑えられないんだなと。
そこからの私は、すごく早かったです。誰かの助けを求めるっていうのは、依存症からの回復過程において養ったスキルなので、すぐさま市役所の保健師さんに電話しました。『1歳半だとわからないんですよね~。タイムアウトしてもただ怖い想いしか残らないんですよね~』とか、ただ自分を落ち着かせてるために、自分で答えを言いながら、話を聞いてもらいました。
とにかく自分の中に閉じこもるのがよくないと思ったので、気持ちをシェアさせてもらいました。それから、ベビーシッターを毎朝1時間頼むことにし、家事負担を減らすために乾燥機能付きのドラム式洗濯機やロボット掃除機も1週間以内に購入を手配しました。」
---普通の育児の話だと思って聞いていましたが、その対策の打ち方が違いますね。2回タイムアウトしてもそこまでしませんよね、一般的には。
「ああ、それは、私が依存症を経て、『人間は絶対に自分をコントロールできない』っていう無力感を知っているからだと思います。助けを求めない人って、どこかで自分の意思でどうにかできるはず、もう絶対繰り返さないって、自分をコントロールできる可能性を信じてるんじゃないかな。私は、そこは『絶対無理』と分かっているから、行動が早いんだと思います。 」
「『12ステッププログラム』という世界的に普及している依存症からの回復のためのプログラムがあり、私もそれを熱心に実践しました。そのステップ1は『(依存対象に対する)無力を認める』なんですよ。そこからの出発です。というのも、依存症の人は、そこを認められないんです。例えば、アルコール依存症の人であれば、これが最後の一杯って、今度こそは自分でコントロールできると毎回本気で思っている。自分で止められると思ってるから、永遠に止められない。それを諦めるのが、第1ステップなんです。」
「私はゆうたに虐待まがいのことをしてしまうのは嫌です。私はしばらく依存症回復の世界にどっぷり浸からせてもらえたので、沢山の仲間の経験も聞かせてもらい、自分で頑張ろうとするのを続けて積み重なっていくと、どれだけの地獄に至るかを確信をもって知っています。 気づいたときに、早期早期に根本的な問題を取り除かないと、人間は、どこまでも苦しいことに慣れていってしまいます。」
子どもができて再び「内から外へ」
(写真:静岡県菊川市と育児支援団体の協力で開催された『菊川市の保育事情を考える会』で、保活経験とヨガの実践をシェアするももさん)
---お子さんができて、それまでと変わったことはありますか。
「外へエネルギーを注ぐことを一旦はシャットアウトしたのですが、子どもができて変わりました。妊娠すると、病院に行かなくてはならないし、市役所や保健センターにも行かなくてはならない。既存の世の中の枠組に、強制的に触れる機会がでてきます。 」
「あるとき息子に手術が必要なことが分かり、大きな子ども病院にかかったことがあったのですが、そのトイレに『オムツはお持ち帰りください』って書いてある。とても違和感を持ちました。子ども病院に子どもを連れて来る人は、すごく大変な想いをして来ている親たちです。たいだい、子どもは街のクリニックでは対応できない病気を抱えています。せめてオムツくらい持ち帰らず帰れるといいなと思いました。それで、病院にゴミ箱を寄付するから、ぜひ変えてほしいと伝えてみました。私には寄付の要請はありませんでしたが、期待もせずに半年後の定期検診に訪れてみたら、最新のゴミ箱が設置されていて、とても嬉しかったです。」
(写真:「嬉しくて、思わず撮った」という子供病院のオムツ用ゴミ箱)
「これは例ですが、そういうことを地道にやるようにしています。結果が出るかどうかでなく、私が常に自分に対して誠実に行動できるかが実践だと思っています。子どもができたことで、身近なことへの違和感や、立場の近い人の苦しみへの共感の気持ちをより大切にしたいと思うようになりました。発展途上国とか、遠い国とか、地球全体のことではなく、今生きている暮らしの中にある小さなことです。 そうしたことがこの世界を作っていると思います。」
「ヨガという実践は、どちらかというと内に引きこもりやすく、こもることに依存しやすいという側面もある気がします。かつての私のように、すべての社会的責任を手放して、自分を癒すことに集中する必要がある人もいると思いますし、それがいけないわけではないのですが。一方で、この私たちが生かされているのは、この社会の仕組みの中なので、自立して社会の責任を果たしていく、貢献していくというのは当たり前のこと、健全なことだと思うのです。「シャンティ・シャンティ」(平和•平和の意)と唱えているばかりがヨガではないと思います。 」
「『行動する仏教』を提唱するティク・ナット・ハン師*5は、私の瞑想の師でもありますが、自分をまず大事にして、そこで養った平和と愛をもって世界の苦しんでいる人をサポートするという実践を積極的にしてこられました。それは、私自身の回復プロセスそのものという感じがして、とても共感します。 同じように、『行動するヨガ』というのがあっていいと思いますし、私はヨガをそのような生き方として捉えています。」
ひとを大切にするなら、「人間」をまず理解する
(写真:静岡県菊川市での未就園児の母親向けの子連れヨガクラスの様子)
---ひとつ聞いてみたいことがあります。自分を大切にすることと、人や社会を大切にすることは、相反することでしょうか。それともイコールな部分もあると思いますか。
「それは、完全にイコールだと思います。世の中では、他人や社会を優先させるために自分を犠牲にする、という考え方がまだまだ根強いと思いますし、またかつての自分もそうでした。でも、自分自身の過去を振り返ってみると、自己犠牲を厭わず生きていた私は、実は、自分の中にある葛藤から逃げるために、理想を社会に投影していただけだったということに気づきます。人に遠慮なく正しいと思ったことをアドバイスする人間でしたし、自分の主体性を尊重していないから、人の主体性も尊重できない。社会のため、人のためを純粋に思っているように見えて、実は『自分の理想を叶える』という条件付きで大事にしていたのです。結局、自分に関わるように、他人に関わっていたということがわかります。」
「人間って、そもそも生き物だから、疲れたら休まないと病気になるし、やる気のない日だってあるじゃないですか。眠りたいこともある。本当に当たり前のことだけど、頭だけじゃなくて、身体があって、五感がある。それが人間という存在なんですよね。とても素朴な存在。本当に当たり前なんですけど、それが理解できるようになって初めて、自分を大切に出来るようになったし、同じように他人も大切にすることが前よりもずっと出来るようになったと思います。だから社会や他人に健全に関わるためには、まず自分を大切にする。自分を大切にするためには、自分を通して、人間というものの体や心の仕組みを理解する、ことが大事だと思います。」
---とても共感します。それでは最後の質問です。クリパルヨガ教師として、母として、社会の中の一員として、10年後の未来像を教えてください。
「(しばし考えてから)
幸せでいることに、コミットしていたいです。
身体的には軽やかで、スキップするように生きている。それが10年後の自分の姿でありたいです。身体的にも軽い、というのが私の幸せのフィーリングなんですね。 」
「とはいえ、具体的なミッションはあります。 2022年10月から産後に移住した静岡県掛川市で、自宅併設のヨガスタジオを開くことになりました。地域の中で、人が安心してありのままで居られる『拠り所』になる場所(ホーム)があればいいなと思って。それは長年の私の願いでした。ヨガはそのためのツールです。子どもにもヨガを伝えられるようになって、居場所がない子どもたちにも、スタジオを開放していけたらなと思っています。」
「いずれにしても、軽やかに、幸せに生きてたいと思います。
それは、自分の人生に対する『責任』なんですよね。
私たちは、育った環境や教育によって、『自分の人生に責任を持っても無駄ですよ』というメッセージをたくさん受けていると思います。刷り込まれているから、被害者にしかなれません。でも本当は違うんですよね。自分は人生の主人公で、作っていける。自分が関わる社会も作っていけるはずなんですよね。 」
---お聞きしていて、すでに軽やかになっているももさんのエネルギーを感じました。
今日はありがとうございました。
(終)
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ほりももよ 1979年生まれ。ヨガホーム 代表、クリパルヨガ公認教師、フェニックス・ライジング・ヨガセラピー公認ヨガセラピスト。国際協力学修士(東京大学)。学生時代から持続可能な社会をつくるための環境活動に熱心に取り組んできたが、20代の最後に、対人関係のトラブルから重度の鬱とトラウマ症状を発症する。回復過程でクリパルヨガとティク・ナット・ハン禅師のマインドフルネスの実践に出会い、回復後の2015年よりヨガ教師となる。ヨガと瞑想の実践を通して、自分に対する慈悲と人生に対する主体性を養っていくことを大事にしている。個人セッションでは、ストレス•鬱•トラウマ・依存症の回復サポートを行なっている。2022年秋に、静岡県掛川市にヨガスタジオをオープン。一児の母。http://m-yogahome.jp/profile/
にしかわまきえ(聞き手) 1976年生まれ。クリパルヨガ公認教師。キッズヨガ教師。クリパルヨガの在り方を子どもたちにも届けたいと保育士資格を取得し、現在は長野県の軽井沢町にて保育士として勤務している。子どもや大人の内に自分を慈しむ心を育てることをミッションとして、ヨガや瞑想を伝えている。二児の母。
https://yogalantern.net/
◆クリパルヨガ
クリパルヨガは、インドの出家僧スワミ・クリパルの教えをもとに、1970年代から米国で体系化されたヨガの流派です。クリパルとは、創始者の名前でもあり、サンスクリット語で「慈悲」を意味します。「今、ここ」で起こっている感覚や感情に寄り添うマインドフルネスの実践をベースに、自己探求を深めることを特徴にしています。
北米最大のホリスティックセンターでありヨガスクールであるクリパルセンターが、ヨガ教師の認定をしています。 日本でも2007年より教師トレーニングが行われており、日本には約200名の認定クリパルヨガ教師がいます。
クラスを受けたい人は:
https://kripalu.jp/find_teacher/
クリパルヨガについてはこちら:
https://kripalu.jp/kripaluyoga.html
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脚注一覧
*1プラーナ:東洋医学でいう「気」と同じもので、自然界の命あるものすべてに流れているとされる。呼吸によって動かすことができる。
*2アーユルヴェーダ :古代インドより発展した生命医学。3ドーシャのうちのひとつヴァータは「風と空」の要素をもち、軽い、動き回る、冷たい、などの特徴とともに、一番増えやすく不安定になりやすい質。
*3陰ヨガ:中国の陰陽五行思想に基づくヨガで、数分間同じポーズをキープすることで身体の奥深くまで働きかけていく。
*4フェニックス・ライジング・ヨガセラピー:クリパルヨガから派生したヨガセラピー。 参考サイト>>
*5ティク・ナット・ハン師:ベトナムの禅僧、平和・人権運動家、学者、詩人。世界的に知られた精神的指導者。マインドフルネスの実践についての著作多数。 参考サイト>>
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