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【Jailbreak】(1976) Thin Lizzy ブリティッシュロック凋落の時代にアイルランドから放たれた快作

アイルランドの英雄的なバンドといえば、フィル・ライノットが率いたシン・リジー!
私、ヘヴィメタルというジャンルは全く駄目ですが、シン・リジーならOKです 笑。

ブリティッシュ・ハードロックが1番盛り上がりを見せた黄金期を1970~72年辺りだとすると、かなり遅れてブレイクしたリジー。
全盛期は何と言ってもスコット・ゴーハム、ブライアン・ロバートソンの両ギタリストを擁した時代です。フィル・ライノットのカリスマ性を武器に、狭いアイルランドを脱獄して米国にも殴り込みをかけた本作はやっぱりハードロックの古典ですね〜。

シン・リジーって当初はハードロックではないんですよね。初期のアルバムはかなり地味デス…。デビューは1970年。3人組でスタートして最初にヒットした"Whiskey In The Jar"という曲もほとんどフォークロック調に近い感じ。その10年後にはジョン・サイクスが加入したメタルバンドに大変身するのですから、なかなか大した変貌ぶりです。

そんなリジーの転機となったのが1974年。スコット・ゴーハム、ブライアン・ロバートソンを迎えてツインリード体制を敷きます。サウンドもエッジのあるハードロック色を前面に打ち出して1976年に発表したのが本作【Jailbreak (邦題・脱獄)】。彼等の6作目にして出世作です。

シン・リジーがユニークだったのは、看板のフィル・ライノット(vo, bass)が黒人系のアイルランド人だったこと、そして米国人のメンバーが在籍したことです(スコット・ゴーハム)。国籍混合バンドでした。
本作もブリティッシュロックと比べると軽やかな感覚。混沌としたハードロックでなく、ギターソロも口ずさめるようなライトでキャッチーな親しみ易さがあります。その辺りがブレイクした理由な気がしますね。ハードロックも新しい時代に入った印象の1枚です。


(アナログレコード探訪)
〜センターホールを細工する〜

ヴァーティゴ・レーベルのオランダ再発盤

私のオランダ盤、実に良い音です。再発ですが音が引き締まってます。但しシングルジャケット。各国初期盤はジャケットのTVモニター部分がくり抜かれた見開きギミック仕様です。私の盤は調べたところ84年のプレスらしい。残念…。欧州盤は80年代でもジャケット裏にバーコード表記がないものが多く、プレス時期を判別し辛いのが難です。

センターの穴(施術前)

ところで、少し気になったのが盤の中央の穴。ターンテーブルのセンターポールに差し込みづらい訳ではないのですが、レーベルの紙が若干飛び出しているのがイヤ 笑。
私はこういう盤、中央の穴をカットしてしまいます。

センターの穴(施術後)

彫刻刀で穴を少し広げてみました。イメージとしては両面を円周沿いに斜めに切り落として、中程がセンターポールと接するようにする感じ。この盤は紙材質が柔らかい為、汚い仕上がりに…(苦笑)。

実はこれでレコードの音が良くなるんです。中古屋の主人から教わりました。理屈を説明しますと、ターンテーブル内のモーター振動がセンターポールからモロに盤に伝って、これを針が拾うのを防ぐということらしい。盤本来の音を抵抗受けずに出せるという訳です。
さて、再度聴いてみると若干再生音に厚みが出たような…うむ、気のせいでしょうか??笑
でもこれ、穴が狭い盤ほど効果はテキメンなのです。自己責任ですが💦


Side-A
① "Jailbreak"

シン・リジーの代表曲。ソリッドでザクザクとしたギターリフが男臭くてカッコいい〜!フィルの癖のあるボーカルも最高です。でも好みは分かれるかも…。
昔、友人とドライブ中にカーステレオで爆音で聴いてたら、後方からパトカーが接近!しまった!ネズミ捕り!? ヤラれたか〜と観念して振り返るとパトカーは居ない。あれ?何てことは無い、曲の間奏に入ってるサイレンのSEだったのでした!

④ "Romeo and the Lonely Girl"

ハードロック以外に軽やかな曲も入っている本作。ギターが16ビートを軽快に刻むこの曲などはかなりライトテイスト。米国的なセンスをサラリと取り入れるフィル・ライノットの感性はなかなか柔軟です。


Side-B
① "The Boys Are Back in Town"

邦題「ヤツらは町へ」シン・リジー最大のヒット曲です。シンプルでキャッチーなロックンロールですが、ギターコードは絶妙にお洒落なんです。フィルの扇動するようなボーカルと2本のギターのハモりが爽快!

③ "Cowboy Song"

カウボーイを題材にしたアメリカンロックな曲調をリジー流に仕上げた一曲。フィルの熱いボーカル、美味しいチョーキングで入るリードギター、とにかく痺れます!
同郷のロリー・ギャラガーが子供の頃にカウボーイ映画に憧れたと語っていますが、フィルも同じだったのかもしれません。アイリッシュが夢見るアメリカへの想いが存分に伝わるハードロックンロール。映像は1978年のライブ。フィルのパフォーマンスが満員の大観衆を煽っていきます。


④ "Emerald"

ラストはハードネスな側面を全開。これもリジーの代表曲です。2人のツインリードのハモり、ソロの応酬に重厚な様式美を感じます。深い哀愁をたたえたメロディ。彼等のハードロッカーとしての威信を示す名演です。

本作は世界的にチャートインして、全米でも18位を記録するシン・リジーの代表作となりました。後のボン・ジョヴィ、ガンズ・アンド・ローゼズはちょうど子供の頃に聴いていた世代だったようです。
noteのみんな、今夜脱獄を決行しよう!ここからシン・リジーの快進撃が始まります。

追記:加筆訂正があります。Lonesome Cowboyさん、ご指摘ありがとうございます。

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