「ふられ気分でRock'n' Roll」(1984) TOM★CAT ヤマハ・ポプコン最後の大ヒット曲
今回は再び昭和のヒット曲です。
昔、ポプコンと呼ばれるポピュラー音楽のオーディションがありました。ヤマハ主催によるアマチュアミュージシャンのコンテスト。毎年行われ、本選会で優勝するとレコードデビュー出来るというアマ音楽家たちのプロへの登竜門でした。出身者を調べてみると………中島みゆき、世良公則&ツイスト、クリスタルキング、チャゲ&飛鳥、杉山清貴&オメガトライブ、あみん……実に沢山の才能が巣立っていますね。
ポプコンからは数多くのヒット曲が誕生しましたが、私がリアルタイムで強烈な印象を受けたのがこの曲でした!
第28回のポプコン優勝曲。そしてジャケットにあるように第15回世界歌謡祭(こちらもヤマハ主催)のグランプリ受賞曲です。小気味よいロックビートに乗って、女性ボーカルのTOMさんがシンセサイザー(ヤマハDX−7)を弾きながらリズミカルに歌う姿が印象的な一曲でしたね〜。
歌詞は恋に破れた女の子の自棄っぱちな気持ちを歌ったモノで、大きなサングラスをした短髪でボーイッシュなTOMさんの風貌と歌の世界観がピッタリでした。
そしてカラオケで歌ったことがある方ならご存知でしょう。歌い出しのワンフレーズがかなり長い!話題になりましたね。
と、ここまでブレス無しで一気に歌い続けるのデス。しっかり息継ぎして歌い始めないと途中でモタなくなるのは、この曲のあるあるでしたね(笑)
話題性もあった「ふられ気分は〜」は当時、私が熱心に観ていた《ザ・ベストテン》でも長くランクインしていました。
1985(昭和60)年
2/7付 11位 6243点
2/14 6位 7479点 初登場
2/21 3位 8073点
2/28 4位 8093点
3/7 5位 8009点
3/14 6位 8013点
3/21 7位 7379点
3/28 9位 7359点
いつも思ったのが、ニューミュージック系のミュージシャンは得点が伸びないこと。これは番組の得点要素で重要だったハガキのリクエスト順位が低かったんですよね。リクエストが多いのはジャニーズ系、聖子、明菜、この時期ならチェッカーズでした。それでも、8000点台を4週間続け、7週ランクインは立派な大ヒットです。
私が番組で記憶にあるのが、歌ってるTOMさんの周りにいるエキストラが、Aメロのワンフレーズの間、目の前に置かれた洗面器の水に顔を沈めて息をしないという演出(苦笑)。
《ザ・ベストテン》って、くだらないセットや演出がよくありましたね〜。でもあれが良かった。
因みに月曜の日テレ《ザ・トップテン》での順位は、2/11付初登場9位→6位→5位→5位→4位→4位→5位→8位、と8週ランクイン。
それでは、当時のTV映像を観てみましょう。「夜のヒットスタジオ」ですね。
TOMさんって小柄でした。確か145cmとか言ってました。あと、歌の途中で
♪ツァツァツァ ツァイラ、って所が歌詞カードに無く、何て歌っているのか今も謎です。
TOM★CATって多くの人には一発屋のイメージが強いですけど、実は次の2ndシングルも良い曲だったんです。私、好きでした。
「ふられ気分で〜」を踏襲しながらも爽やかで良い曲でした。サビの♪シャラルララ〜、とファルセットで駆け上がる所が耳に残りますが、私はBメロの♪いちずで不まじめ〜、って所が切なくて好きでしたね。TOMさん、いい曲書いてました。でもデビュー曲が強烈過ぎて埋もれしまった感じですね。
さて、ヤマハのポプコンに話を戻しますが、この翌年のグランプリ曲をご存知でしょうか?ややマニアックですが、当時、私が応援していた曲なんです。
第16回世界歌謡祭でもグランプリを獲った曲です。当時、TVのCMや雑誌でもかなり宣伝されてました。前年の「ふられ気分で〜」と比べるとインパクトが弱いですが、イントロのフレットレスベースからして実力派ぶりを窺わせるし(当時はそんなこと理解してない笑) 、TOM★CATに続けと応援してました。
この頃私は、毎週書店に行ってはオリコンチャートをチェックするようなイヤな子供だったのですが、この曲は確か20~30位をウロウロ、記憶では10万枚程度の売上でした。
しかしリードボーカルの尾崎和行さんは2011年に52才で死去。残念です。
TOM★CATはアニメ主題歌の「TOUGH BOY」もありましたが、1988年には解散。かつて、写真週刊誌でTOMさんが溶接工の仕事をしているところを記事で読みましたが、現在もマイペースで音楽活動は継続中。何でも「ふられ気分でRock'n' Roll」の印税は今も入ってくるとのこと!一発ヒットって凄いですね〜。羨ましい!!
ポプコンは1986年で終了。その後ティーンズ・ミュージック・フェスティバルという名前で引き継がれたそうで……私は知らなかったです。でもこの数年後に訪れたイカ天など空前のバンドブームを思えば、いい潮時だったのかもしれません。
バンドブームは色モノも多かったし、ポプコンから登場したミュージシャンとは毛色が違う気がしましたね。これも時代の流れ…。
昭和のポプコンのヒット曲を聴いていると、真摯に音楽に取り組みながらも、万人にアピールしようとする真のポピュラリティがあったような気がします。
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