嗚呼、昭和の洋楽ポップス ショッキング・ブルー
最近、私はショッキング・ブルーがマイブームです。1970年に「ヴィーナス」の世界的ヒットで一躍有名になったオランダ出身のポップ・ロックグループ。懐かしいリアルタイマーもいらっしゃるかもしれません。
私は後追いですが、中学時代に彼等のシングル盤をコツコツと買い集めていたことがありました(CD期にほぼ手放す)。昭和の香りがするセピラカラーの洋楽ポップス。マリスカ・ヴェレスのルックスと相俟って、何とも言えない甘酸っぱさに惹かれました。
数年に一度訪れるマイ・ショッキング・ブルーブーム。実は今、シングル盤を回収している最中です。今回は私の微々たるコレクションと共に、彼等の楽しいヒット曲を綴っていきます。どうかお付き合いのほどを。
先ずはショッキング・ブルーと言えば、何はともあれこの曲。世界中で大ヒットした「ヴィーナス」です。
私の場合、1986年のバナナラマの全米No.1ヒットで知った世代。日本ではアイドルだった頃の長山洋子がミニスカートを穿いてユーロビート調でカバーしてましたね。
当時、十数年ぶりのリバイバルに俄然ショッキング・ブルーのオリジナルにも注目が集りました。
久しぶりにシングル盤で聴いてみましたが、彼等のこの頃の曲はモノラル録音なんですね。音がひと塊で中央から飛び出してくる感触。録音の鮮度もあってなかなか生々しいです。
こちらはバナナラマのヒットに便乗した再発盤。当然同じくモノラルですが、聴き比べると迫力はダウン。80年代のマスタリングでやんわりベールに包まれた音像です。
そしてショッキング・ブルーの名曲ならば、もう一つ、こちらも忘れてはいけません。米国ではコケたけど、日本では大ヒットした「悲しき鉄道員」。
日本の歌謡曲にも似たマイナー調の旋律が親しみやすく、私は好きでしたね。ホーンや中盤のハーモニカも妙味を添えてイイ。
でもこの曲、ネット動画と当時の日本盤では聴いてて違和感アリ。あれ??
実は日本盤だけテンポが速かったのをご存知でしょうか?裏話がありました。
日本のレコード会社の担当が、オランダから送られてきたこの曲を聴いて「かったるい」と感じたらしく、無断で回転数を上げて出したそうなんです。これが50万枚の大ヒット。
ショッキング・ブルーからは、何故日本だけテンポが速いんだ?と聞かれたそうですが、売れたから問題ナシ(笑) いやはや、権利の緩さもさることながら、当時の洋楽ディレクターの大胆な英断ぶりには驚きます。
さて、人気絶頂の頃、ショッキング・ブルーは来日もしていました。
一度だけ果たした来日公演の実況録音盤。
東京厚生年金ホールで1971年7月28日、30日に収録された音源です。メンバーは、
マリスカ・ヴェレス(vocal)
ロビー・ファン・レーベン(guitar)
クラーシェ・ヴァン・ダー・ヴァル(bass)
コーネリス・ファン・ダー・ビーク(drums)
収録は全14曲。スタジオ音源と比べれば4人だけの生演奏はやや物足りない印象ですが、逆に彼等の確かな腕前は一聴瞭然。
リズムにリードと達者なギタリスト兼コンポーザーのロビー、それを下支えするベースとドラムの安定感。レコードと違わぬ歌唱のマリスカと感心するばかり。実力派のバンドだったんですね〜。
ライナーノーツに拠れば、羽田空港に到着したのは、バンドメンバーにマネージャーとロードマネージャーを加えたたったの6人!随分と小規模なツアークルーだったようです。
司会者の紹介から始まるA-①「ヴィーナス」。なかなか良い感じです。
B-①「明日へ向う道」。これは初期の楽曲でサイケ色全開。是非スタジオ版で。ヴァニラ・ファッジばりのハモンドにシビレます〜。
B-④「マイティ・ジョー」は日本では少しヒ ットした軽快なロックナンバー。これも私は好き。映像のマリスカ嬢、エキゾチックな美貌です。これもスタジオ版で。
B-⑥「ショッキング・ユー」はソウルフル!なかなかドスの利いた歌声のマリスカです。
ライブ盤の全編はこちら↓。興味のある方は是非どうぞ〜。
ちなみにラストは再び「ヴィーナス」(笑)
持ち曲が無かった訳でもないでしょうが、やはり看板曲でお開きということですかね。地味ながら聴き応えのあるアルバムです。
ショッキング・ブルーは1974年に解散。マリスカ・ヴェレスはソロに転向しますが、バンドは80年代に再結成もあったようです。
が、2006年12月にマリスカが他界。上の映像はその年明けに出演したテレビで見せた最期の歌唱です。往年の可憐な姿からは見違えるほど肥ってしまったマリスカですが、それでも魅力的。歌唱力も健在。何より観客の大合唱を聴いていると「ヴィーナス」って愛された曲なんだと実感しますね。R.I.P.
もう暫く、ショッキング・ブルーブームは続きそうです。中古シングルを探さねば…💦