【Wishbone Four】(1973)Wishbone Ash 音が悪すぎるUKoriginal盤の謎
よっしーです。今日は1970年代の英国ロックから、Wishbone Ashのレコードの話です。
70年代に、英国の元祖ツインリードギターのバンドとして知られるWishbone Ashですが、評価の方は今も昔も圧倒的に初期の時期で、中古レコード市場においても、やはり人気は初期3作品に集中してます。中でもとりわけ【Argus】(72年 百眼の巨人アーガス)のUKoriginal盤の高額ぶりには目眩がしそうなくらいです。
私はというと、後にリードギターがテッド・ターナーからローリー・ワイズフィールドに交替して、よりアメリカナイズされた頃が好きで、初期作ならば圧倒的に4枚目の【Wishbone Four】です。それまでの叙情派ハードロックから一転、小気味いいロックンロールと、仄かに米国の香りをまとった牧歌的サウンド、楽曲も歌ものにシフトして何より心地良く、昔からの愛聴盤です。
それだけに、このアルバムのUKoriginal盤を手に入れた時はかなりの感激でした。
こちらがその盤。オリジナル盤はMCAのブラックレーベルです。このブラックレーベルは73年のみに使われたデザインのようです。マトリックスは1L/1L、つまり初回です。ジャケットはゲートフォールド。
こちらは付属のポスター。裏面は歌詞が印刷。本国盤には、只今売出し中!、といった気合いが感じられますね。しかしながら肝心のレコード、これがどうにもこうにも音が酷いのです。UK盤らしさがほぼ皆無。自分では試聴して、マトモな盤を買ったつもりだったのですが…。
初め、私はてっきり誤ってコンディションの悪い盤を買ってしまったのか、と思ったのですが…どうもそれは違っていました。
というのも私はこれまで、何年もかけて中古レコード店で、計6枚!(内2回は購入)の【Wishbone Four】UKoriginalを聴いてきましたが、全部同じく酷い音なのです!
ここまでくると偶然とは思えません。きっと何か原因があるのだと踏みました。
UKoriginalが駄目ならUSoriginalはどうだろうか?色違いのシングルジャケット。買ってみました。
UK盤よりは遥かにマシ、とはいえやはり冴えない音。しかも、無理矢理に中音域を持ち上げたようなわざとらしい音。何よりベースなどの低音が小さい。
では国内盤はどうだろうか。ビクター定価2000円の初回盤、これも買いましたよ!!
これも駄目。恐らくは英国→米国→日本と来る3次コピーのマスターから制作したのであろう、US盤の音質をワンランクダウンさせたような音。国内盤では仕方ありませんが。
改めてUKoriginalの音を、各曲ごと私なりにチェックしてみると
A面−①✕、②◎、③△、④△
B面−①✕、②○、③△、④△
といったように、A面①が酷い音、次の②だけがすこぶる良い音なんで目立ちます。US、国内もこれに準じた傾向。
なぜ【Wishbone Four】の音は酷いだろうか。
これはもう、マスターテープに原因があるとしか考えられません。録音かミキシングが悪かったのだろう、といまは思っています。
60年代ならいざ知らず、73年にしてこれで商品化はないよなぁ…随分お粗末です。
米国ではこの作品で大きく躍進(全米44位)。前作【Argus】の評判を聞いた米国MCAのスタッフも、よ〜し売ってやるぞ!と思ったかどうかは分かりませんが、送られてきたコピーマスターの音のショボさに驚き、マスタリングするにも限界があっただろうと想像します。
レコードはそもそも音に個体差があります。同じスタンパーからでも、プレスした1枚目と2000枚目では音の新鮮度が違うと言われます。いまの配信では考えられないことですよね。アナログの時代だからこその、技術的な面、人為的なミスが、そのまま露呈して、更には市場に出てしまうところがコレクターには、アナログの面倒でもあり、魅力でもあります。
久しぶりにこのアルバムの紙ジャケCDを引っ張りだしてみました。音良いじゃありませんか!これからはCDで聴くことにします(笑)
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