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「俺たちの旅」(1975)中村雅俊 あれから50年…ドラマ《俺たちの旅》

今回は昭和の懐かしいドラマの話です。

《俺たちの旅》って憶えていますか?
1975年10月から翌76年10月まで放送された青春ドラマ。主題歌を中村雅俊が歌って大ヒットしました。

中学時代に(80年代後半の話です)投げ売りの
中古レコードで購入しました

私は世代的にこの曲、聴いたことがあるかな?程度だったのですが、繰り返し聴く内に良さが滲みてきました。今では大好きな曲です。

作詞・作曲は、小椋佳。当時、銀行員とシンガーソングライターの兼業でも有名でした。NHKのドキュメンタリーでその様子が紹介され、行員として定時まで勤めた小椋さんが、コンサート会場へ向かい、リサイタルで歌うまでの一部始終を密着した番組を再放送で観たことがあります。まさに現代を先取りしたような見事な副業ぶりでしたね。
私はこの曲の歌詞に出てくる「ウォーターメロン」「放物線」といった言葉選びが何処となく文学的で、昭和の歌謡曲やフォークとも異なる独特な質感を感じたものです。インテリジェンスなのでしょう。小椋さんの曲なら、梅沢富美男「夢芝居」も大好きです。

さて、ドラマ《俺たちの旅》ですが、私は大人になってからローカル局の再放送で観ました。あの頃のドラマって長丁場なんですよね。全46話。登場人物が絡み合いながら、少しずつ話が進んでいくところがイイ。
番組のオープニング映像がこちら。一瞬であの頃の世界に持っていかれます。

ドラマは、津村浩介・カースケ(中村雅俊)、中谷隆夫・オメダ(田中健)、熊沢伸六・グズ六(津坂まさあき、後に秋野太作)という、性格も生き方もバラバラな3人が織りなす青春群像劇です。
大学でバスケットボールに打ち込むカースケ、オメダと、婚約者がいるのに会社をクビになった社会人クズ六の3人がひょんなことから再会。やがて同居生活をしながら様々な出会い、別れ、紆余曲折を経て、最後は自分達で会社(何でも屋?)を立ち上げる……大まかにはそんなストーリーだったと記憶してます。

貴重な第1話のダイジェストがYouTubeチャンネルで紹介されていました。ちょっと観てみましょう(本編は3分過ぎから)。

バスケットボール部のマネージャーが洋子(金沢碧)でした。ここでもそうですが、洋子はカースケにやたらと世話を焼きます。
「津村くん、就職しないの?」
「もっと真剣に将来のことも考えなさいよ」

つまりカースケのことが好きなんですよね。大学を卒業した後のことが心配で仕方ない。やがて、洋子は自分のコネまで使って就職先を紹介します。けれど天衣無縫、縛られることが大嫌いなカースケは全く興味ナシ。そもそも洋子の好意に気付いてるのか気付いてないのか…。そんな状況に観てる方もヤキモキします💦

洋子とカースケ

私がこの第1話で印象に残ってるのが、洋子のヌードシーンです(記憶にある方も多いかと思います。上の動画ではカット。)

何とオメダがロッカールームで洋子の着替えに遭遇してしまうのです。しかもキレイなバストを遠目でハッキリと見てしまい、暫く動けずにいます。
これ、今のドラマでは絶対に描けないですよね〜!でも実に甘酸っぱい、誰にでもある性のドキッとする瞬間を切り取った大切な場面でした。蛇足ですが、令和に入っての再放送ではこのシーン、洋子の乳首にボカシが入るという愚行…。私が観た平成の頃はバンバン出てましたけどね。テレビもつまらなくなりました(苦笑)。

一方でグズ六は、どこに就職しても直ぐにクビになる始末。恋人の紀子(上村香子)の両親になかなか婚約の話を言い出せない。煮え切らない態度に何度も紀子に愛想を尽かされます。でも、何故かグズ六は色んな女性からモテるんですよね(笑)

カースケ、オメダ、グズ六、異なるキャラクターの3人ですが、皆、世間の常識的なレールに乗っていけない不器用さでは共通していました。ちょっと情けない、大人にもなり切れない3人が励まし合い、時に感情を爆発させながら成長していく。そこには男臭い思い遣りがあって、私などは「うん、うん」と頷きながらドラマに惹き込まれてしまうのですよね。
またこの時代らしく、学生運動後の「挫折感」が漂うのも私が魅力を感じる理由です。この1つ前の《俺たちの勲章》(主演:松田優作、中村雅俊)も名作。全体を覆う哀愁味、やるせなさ、虚無感に、シンパシーを感じずにはいられません。


青春ドラマの金字塔とも称される《俺たちの旅》ですが、続編として、10年目、20年目、30年目とその後のエピソードを特別編で描いたことも秀逸でした。3人がどんな人生を歩んだのか?これは視聴者ならば絶対に観てみたいですからね。

私は全部を観ていませんが、グズ六と紀子が別れていなかった事には心底安心。しかし、オメダがまさか地方の市長になっていたとは驚きました。カースケは変わらず自由(笑)
唯一残念だったのは、洋子が途中で亡くなっていたこと。そりゃないですよね〜。何と言う酷い設定(怒)!でも演じた金沢碧さんは健在なので、きっとオファーを断ったのでしょう。現在は女優業も引退されてるようなので非常に残念です。

大人になった洋子とカースケ

気が付けば来年で放送から半世紀になる《俺たちの旅》。メインの3人はまだ元気なので、是非とも区切りとなる来年は、特別編ファイナルとして物語の最後を見せて欲しいです。晩節をこの目で見届けたいんですよね!関係者の方々、宜しくお願いします。


では、この記事も《俺たちの旅》風に終わることにします。
 


男とは一生懸命になれることを
noteに書きたくなる
生き者なのです



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