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【Captured Live at the Forum】(1969)Three Dog Night 人気急上昇中の熱狂ライブ盤!

1970年代に大活躍したスリー・ドッグ・ナイト(以下3DN)。私は大好きです。最初に知ったのは「喜びの世界」でした。80年代末に日本のCMで流れていたことがあり、これ誰?とTV画面の隅に出た「Three Dog Night」だけを手がかりに古い《ミュージックライフ》誌面で調べて、ようやく辿り着いたLP【ナチュラリー】をボロボロの中古レコードで買った懐かしい思い出があります。

3DNの得意技といえば他人の曲のカバー。と言っても単なるカバーではなく、まだ世間にさほど知られていない作家の隠れた楽曲を取り上げて、見事にヒット曲へと仕立て直してしまうプロ集団です。とにかくポップで楽しい3DNですが、デビュー初期はブラックフィーリングに満ち溢れているんですよね。

こちら彼等の1stアルバムに収録された "Heaven Is in Your Mind"。英国ロックバンドのトラフィックのナンバーですが、かなりソウルフルなアレンジに様変わりです。
3人のリードボーカルが並んで熱唱するスタイルはなかなかの迫力。向かって左から、チャック・ネグロン、ダニー・ハットン、コリー・ウェルズです。テレビ出演の口パクですが、実に黒い感触!タイトなバックの演奏も熟練のプロらしい仕事です。各々が最後のワンフレーズを歌い上げる場面など、三者三様の個性が出ていて、これぞ3DNの味となっています。

本作【Captured Live at the Forum(邦題:白熱のライブ)】は3DNの3作目。前年にデビューしたばかりの彼等が早くもリリースしたライブ盤です。ステージには相当な自信があったのでしょう。
実際に本作の全ての曲が、スタジオテイクを超える濃厚な仕上がりで、熱のこもった歌と演奏、緩急のついたステージングは、彼等がライブバンドとしても一流だったことを証明しています。観客の熱気も物凄く、3DNの熱い、熱い初期の決定盤です。

米国盤ジャケット見開き内側
日本盤は左側にも写真付のサービス


(アナログレコード探訪)
〜日本盤の丸い音を考える〜

ダンヒル・レコードの米国初期盤
東芝音工の日本初期盤(赤盤)

それぞれ2枚を聴き比べてみると、米国盤が歓声も演奏も明瞭なのに対して、日本盤はまず音量レベルが小さく、全体にこもった音に聴こえました。ところが日本盤のボリュームを上げてみるとビックリ。ググッと低音域が迫り上がってきて、音抜けこそイマイチですが、そんなこと気にならない位にミドルレンジが広がる豊かな音が楽しめました。

以前、ある方のネットブログで読んだのですが、CBSソニーがレコードのカッティングに1970年くらいまで真空管アンプを使っていたという話があるのです。トランジスタと違って真空管アンプだと、丸く低音の豊かな音が再生出来ると言われます。当時の日本盤が、音はこもり気味でも低音がよく響くのはもしかしてそういう事なのかなと最近考えるようになりました。コピーマスターからの複製が原因というには、本国盤と音が違いすぎるのです。この辺り、調べていきたいです。

もう一つ、2枚を比べて気になったことを。
B面ラスト"Try a Little Tenderness"終演後、鳴り止まぬ歓声の中で司会者が「Three Dog Night!………Three Dog Night!………Three Dog Night!」と3回叫びますが、米国盤では3回目がフェイドアウトして終わるのが、日本盤では3回目の後、突然ブチ切りで針が上がります。おそらく日本盤はマスターに収録された最後の部分まで盤に刻んだのでしょう。サービスだったのかもしれませんが、急に終わるのでビックリします。


Side-A
③"It's for You"

John LennonとPaul McCartneyがシラ・ブラックに書いた一曲。3DN版は全く違ったアレンジで、手拍子にアカペラで3声を重ねていく抜群のハーモニーが聴き所です。後半はファズギター、オルガンが活躍するサイケデリックな演出。対比が面白いです。

⑤"One"

1stアルバムからの大ヒット曲(全米5位)で、ライターは無名時代のニルソン。リードボーカルのチャック・ネグロンが、物哀しいメロディを徐々に盛り上げていきます。

Side-B
③"Easy to Be Hard"

アルバム終盤でシットリした曲がくるのも計算された流れなのでしょう。2ndアルバムからのヒット曲(全米4位)。リードはチャック。美声で静かな歌い出しから激しいパートまでジワジワと攻めます。ファンの歓声もひときわ大きい。

④"Try a Little Tenderness"

クロージングナンバーはオーティス・レディングの代表的なレパートリーで、彼等の初ヒット曲(全米29位)。ここでは3DNで1番のイケメン&ソウルマンのコリー・ウェルズが熱唱します。白人ながら黒人顔負けのフィーリングで歌い上げる姿はまさに独壇場。他の2人はハケて、コリーをフューチャーしているようです。元々オーティスの死を悼んでカバーしたそうですが、彼等の代表作となったのも納得の名唱名演です。ビートクラブの映像。

こうして聴いていると、彼等のルーツはブラックミュージックなのでしょうね。屋台骨となるドラマーが黒人メンバーだったことも大きかったはずです。巧妙なプロダクションによって、ここから更に3DNの快進撃は続きます。あ〜、ヒット曲満載のベスト盤が聴きたくなってきました💦

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