【Couldn't Stand The Weather】(1984) Stevie Ray Vaughan 新時代のブルースを告げた代表作
1990年8月27日にヘリコプター事故でスティーヴィー・レイ・ヴォーンが亡くなって31年経ちました。
当時の日本でもスポーツ新聞で取り上げられ、片隅とはいえミック・ジャガー、デビッド・ボウイと一緒の写真が訃報と共に載っていたのを覚えています。
実のところ私はその記事で初めて彼の名前を知ったのでした💦
その頃の私は丁度ローリング・ストーンズ経由で古い黒人ブルースを聴き始めた頃だったので、ブルースと名が付くのなら興味津々。
すぐにレンタルCDで彼のライブ盤を聴きました。渋いけど派手なブルースギターだなぁ、というのが第一印象でしたね。
その後上京、東京で初めて買ったCDが本作。ど頭の2曲は衝撃的でしたね。
こ、こんなにカッコいいのか…と心底魅せられました。
米国エピックレコードのUS盤です。
リマスターへの買い直しも含めて、レイ・ヴォーンは長くCDで聴いていました。
数年前に買ったこのアナログ盤は聴き比べてみてどうだったか?
何かCDより80年代ぽい音がしました。エコー感が増したような?!
私の印象ですが、CDは若干潰れ気味な音のせいか、80年代的エコー処理の音像に上手く溶け込んでる感じがしますね。
一方、アナログ盤は割りと各楽器の粒立ちがいい分、各々のリバーブ残響音が際立ってゴージャスなサウンドに聴こえます。
いや、もしかしたらCD(2010年レガシー・エディション版)は現代風を意識して、敢えてリバーブ成分を弱めてるのかもしれません。
あくまで私のオーディオ、私の耳の話です…
正直言うと元も子もない話、私はレイ・ヴォーンのアルバムのこのリバーブ掛かった音、特にスネアドラムの音が苦手なのです…。
本作に特にそれを感じます。好きな演奏なのですが、この80年代的なドラムの響きがどうもミスマッチに聴こえて抵抗あるのです。
なので、CDの方が気にならず聴けるなぁとは思いました。
本作はスティーヴィー・レイ・ヴォーンが1984年に発表した2ndアルバム。前年にデビッド・ボウイの【レッツ・ダンス】に参加して以来、話題のブルースギタリストとして注目される中でリリースされました。
A-①「Scuttle Buttin'」
②「Couldn't Stand The Weather」
③「The Things(That)I Used To Do」
④「Voodoo Chile (Slight Return)」
B-①「Cold Shot」
②「Tin Pan Alley」
③「Honey Bee」
④「Stang's Swang」
いきなり、名刺代わりとも言えるインストA-①で一気に持っていかれます!スピーディかつブルージーで兎に角カッコイイの一言。
続くタイトル曲A-②はファンキーなノリの傑作!
絶えず16ビートに乗ったギターカッティングが凄まじいの一言。縦横無尽のストラトキャスターのサウンドです。
ダブル・トラブルの2人とのコンビネーションもバッチリ。バックに兄ジミー・ヴォーンが参加してます。甘い音色のギターがそうでしょうか。
A-④はジミ・ヘンドリックスのカバー。原曲に忠実ながら、レイ・ヴォーンならではのバッキングやフレーズが差し込まれ新鮮です。
B-③は骨太なシャッフルビートの曲。こんなテキサス仕込みの無骨なレイ・ヴォーンにも私は惹かれます。塩辛なボーカルもいい味。
B-②はクロスオーバー的な音選びも聴かせる都会的スローブルース。B-④ではスウィンギーなジャズっぽい演奏。
期待の新星ホワイトブルースアクトとして、あんな事もこんな事もやりますよ〜的な、非常にショウケース的に優れた作品だと思います。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンというギタリストは素晴らしいギターソロもありますが、基本的にはリズムギターが圧巻の魅力だったと思います。
具体的には、リードとリズムが渾然一体となった図太いギターサウンド。
あの渦を巻くトルネードのような物凄いカッティングは耳に残りますね。まさしく本作の邦題【テキサス・ハリケーン】の如く太いノリ。かつてあんな音を出せるギタリストは居なかったハズです。
私も昔コピーに挑戦した事があるのですが、早々降参しました笑 無理です。
テクニックもフィーリングも含めて、あの才能はアメリカという土壌だからこそ生まれたものなのでしょう。
シンセサイザーの音が氾濫する80年代に、対極をなすブルースのジャンルから新ヒーローが出現したことは興味深いです。
レイ・ヴォーンのギターサウンドは、今聴いてもやっぱりカッコ良くて華のあるブルースだと感動します。
そして同時にアメリカという国の音楽的なバックボーンの奥深さをまざまざと思い知らされてしまい、私などはギターを弾く気を失くすのです…。
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