【Live Alive】(1986) Stevie Ray Vaughan and Double Trouble 存命中に発表した唯一のライブアルバム
8月の終わりはスティーヴィー・レイ・ヴォーンを思い出します。何と本日、27日は彼の命日なんですよね。あの忌まわしいヘリコプター事故で亡くなったのは1990年のこと。もう33年ですか……。
なんて書くと大ファンだったみたいですが、全く違って、当時高校生だった私はスポーツ新聞で彼の訃報を読んで初めて存在を知ったのでした💦 新聞の写真はミック・ジャガーとのツーショット。へー、凄いギタリストがいたんだなぁ…。
早速レンタルCDで初めて聴いたスティーヴィーが本作でした。ちょっとビターなブルースロックのライブ・アルバム。今聴いても、あの野太いストラトキャスターのうねるような音にはシビレます。
1983年にメジャーデビューしたスティーヴィー・レイ・ヴォーン。本作は通算4枚目で、彼が生前に残した唯一のライブ作品です。アナログ盤では2枚組のボリューム。個人的に思い入れもありイチ推しと言いたい所なのですが、正直言ってこれ、彼のベストテイク集では無かったなぁというのが今になっての本音です。
後に様々なライブ音源を聴いてみると、もっと良いバージョンがあるんですよね。
というのも、この頃スティーヴィーは薬物中毒の真っ只中。急激な成功からの反動でドラッグに走り、暫く不調が続いた時期でした。【ソウル・トゥ・ソウル】(85年)以降はレコーディングからも遠ざかり、当然ライブでも精彩に欠くことが多く、本作は録音時期の異なる音源の寄せ集めとなっています。
音源ソースは、
①1985年7月15日モントルー・ジャズ・フェスティバル(A-①〜④)
②1986年7月17, 18日オースティン・オペラ・ハウス
③1986年7月19日ダラス・スターフェルト
因みにゲストで実兄ジミー・ヴォーンがB-④, C-①, D-①②で共演。
出来が良いのはモントルー・ジャズ・フェスティバル。これは冴えてますね。
スティーヴィーは1982年に同フェスティバルへ初出演しているのですが、その際に観客からブーイングを受けて屈辱のステージを経験しています。よって、この85年は新メンバーのリース・ワイナンス(Key)を加えた4人編成で迎えたリベンジとも言うべき正念場だったんですね。通りでプレイも熱っぽい。
でも本作、昔から気になるのが音の悪さなんです。楽器の粒立ちが悪すぎます。全体的に音が遠く、80年代のライブ盤にしてはお粗末な印象ですね。加えて選曲も今一つ地味!!
人気の"Scuttle Buttin'"や"Couldn't Stand the Weather"を何故入れなかったのか??
しかもモントルーのステージは後年DVDで映像ごと発売されてしまい、今となっては本作の価値も落ちてしまいました。
当時のレコード会社としては、場を繋ぐ苦肉の策のライブ・アルバムだったのでしょう。
そんな訳で、今回は私なりにネット動画から良さそうなバージョンも加えてみました〜。
〜曲紹介〜
Side-A
① "Say What!" 4:43
A面は全て1985年モントルー・ジャズ・フェスティバル出演時の音源です。
当時まだリリース前の【ソウル・トゥ・ソウル】からのインストナンバー。ワウギターでソウルフルに歌うように弾きまくる髭面のスティーヴィー。内心は借りを返してやろうという気持ちだったでしょう。キレのあるプレイです!
② "Ain't Gone 'n' Give Up on Love" 6:26
③ "Pride and Joy" 4:59
1stに収録のシャッフルナンバー。スティーヴィーのバッキングって1弦ら6弦まで使った豪快で荒々しいプレイなのに、全く乱れずに抜群のノリを生み出します。ビートがとにかく骨太ですね。
④ "Mary Had a Little Lamb" 4:20
Side-B
① "Superstition" 4:33
本作で私が心酔した演奏です。曲はお馴染みStevie Wonderの名曲。
メインリフは鍵盤が刻み、スティーヴィーは終始カッティングと渋めなノドを披露。
聴きどころは終盤の火を吹くようなギターソロです。荒っぽいカッティングに開放弦からハイフレットまで駆使したフレーズを織り込んで攻めまくりのプレイ!まるで渦を巻いて迫るテキサス・ハリケーンの如く。カッコ良いです。惚れ惚れします。
昔、バンドでこのプレイをパクろうとしましたが到底無理でした💦 本作テイクも素晴らしいですが、気合いの入った演奏を発見。1989年地元テキサスでのライブです。熱い!
② "I'm Leaving You (Commit a Crime)" 5:40
③ "Cold Shot" 5:36
④ "Willie the Wimp" 4:51
Side-C
① "Look at Little Sister" 4:06
② "Texas Flood" 6:36
③ "Voodoo Child (Slight Return)" 9:42
2ndに収録済みのジミヘンのカバー。スティーヴィーはジミヘンからの影響が大きく、ステージでも度々取り上げています。
本作テイクはキレが今一つでやや冗長に思えますが、この1987年ボランティア・ジャムでは引き締まった演奏が光ります。途中ギターを背後にしたプレイは圧巻。弦が切れても弾きまくり、最後はギターを地面に抑えつけるなど珍しく暴力的なパフォーマンスです。
Side-D
① "Love Struck Baby" 3:41
② "Change It" 4:53
③ "Life Without You" 9:30
かつて1枚ものCDでオミットされたのがこの【ソウル・トゥ・ソウル】収録曲。
熱いステージをクールダウンさせるスローナンバーですが、ギター奏法にはジミヘンからの影響を色濃く感じます。スティーヴィーって塩辛ボイスで歌も上手いんですよね。
雨上がりに似合いそうなシットリしたエンディング曲です。映像は1988年ニューオーリンズでの演奏から。
スティーヴィー・レイ・ヴォーンの公式ライブ盤は没後にいくつか発掘されましたが、改めてネット動画を観ていると、彼の真の魅力は映像の方が伝わってきますね。特別なアクションがある訳ではないのに、ギタープレイと立ち姿だけで惹き込まれてしまいます。
折に触れて、在りし日の勇姿に接することが1番の供養だと願って…。
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