【Back to Oakland】(1974)Tower of Power ワーナー時代の作品聴くならUSoriginal盤で
俳優の田中邦衛さんが亡くなられましたね。実は私、ドラマ【北の国から】を1度も観たことがなくて、いや、避けてたとこがありました。でも今回ばかりは、友人にもススメられ再放送を観ました。泣きました(涙) いままで非国民だったことを恥じます(苦笑)
さて今日は、1970年代に白人グループながら黒いフィーリングでソウルフルな音楽を聴かせてくれたTower of Powerとレコードの話です。
60年代末のサンフランシスコ周辺では、性別、人種を超え、音楽性も雑多に呑み込んだ個性的なバンドがたくさん出て来ました。Sly&The Family Stone、Santanaなどはまさしくそれで、Tower of Powerもサンフランシスコ湾に面したベイエリアのオークランド出身のバンドです。
リーダーのエミリオ・カスティーヨ(テナーサックス)を中心に5人のホーンセクションを率いて、ソウル、ファンク、ジャズ、ラテンなどを混ぜ合わせた、黒人に引けを取らないファンキーで、そしてメロウなサウンドで人気を博しました。
いまだ現役の彼らの全盛期と言えば、ワーナー・ブラザーズ在籍時の1972〜1975年。リズム隊にデビッド・ガリバルディ(ドラム)、フランシス・ロッコ・プレスティア(ベース)を迎えた最強期。中でも74年に発表された通算4枚目の【Back To Oakland】は名盤と誉れ高い作品です。
私のイメージ。夕暮れ過ぎて宵の口の頃に、景色のいい高台なんかから、遥か先に広がる都会の街の灯りをウットリと眺める。そんな時に私このアルバムを聴きたくなるんですよ〜。スウィートな気分になります。
さてさて、そんなTower of Powerのワーナー期のスタジオ5作品(USoriginal盤)がこちら。久しぶりに聴き直してみました。
①【Bump City】(72年)「ダウン・トゥ・ザ・ナイトクラブ」「ユーアー・スティル・ヤングマン」などライブの定番曲収録。すでにファンキー。
②【Tower of Power】(73年)この辺りから更に黒人テイストの音に。代表曲「ホワット・イズ・ヒップ?」収録。
③【Back to Oakland】(74年)ディープな黒人フィーリング。各曲が粒揃いで、トータルとしての作品性が高い。最高傑作。
④【Urban Renewal】(74年)前作の勢いをそのままの佳作。バラードがよい。「限りある世界」収録。
⑤【In The Slot】(75年)どんどん複雑になるリズムセクション。インストも多く、ファンク・バンドとしての最高作。
ベイエリア・ファンクと称された彼らの作品。ん〜、どれもファンキーでメロウでイイです。ベスト盤には入ってない隠れ名曲もあるんで、アルバムで聴くことオススメします。またレコードで聴くと繊細で響きのある音が素晴らしいですよ。
ところで、アナログで聴くようになってからの発見なのですが、
これらのUSoriginal盤の中で、何故か④⑤だけがむちゃくちゃ音良いんですよね。
ハッキリ判ります。別に①②③、音悪くないんですよ。でも何故だか④⑤は音量レベルが大きく、各楽器、ボーカルもクッキリしている。飛び出してくるような音なんですよね。明らかに違う。特に⑤はビックリするくらい音デカい。
何故なのか?判りません。単なる個体差?とも思えません。レコード会社が同じで、プロデューサーもほぼ同じ。私の盤、マトリックスが特別若い数字というわけでもないんです。これ謎ですね。エンジニアが気合い入れてカッティングしたのかなぁ。
おかげで、最初に買ったのが轟音④⑤だったので、名盤③を聴いた時の音がどうにも納得出来ず、どうしてもおかしい!と思い、愚かにも3回買いました(笑) 私こういう時しつこいんです。でも全部同じ音でした。後に①②を買ったら、これも似たような音だったんで渋々納得したということがありました。
それでも、もしかしたら?と悪い虫が騒ぎ、偶然見つけた③の国内盤を買ってしまい、期待して聴いてみました。それがこちら、
これは前にも書いた、国内ワーナー8000番台ですね。どうだったか?
これ、音量レベルも少し大きいし、一聴するとハッキリして良く聴こえるのですが、US盤と聴き比べてみると、音を持ち上げてますねぇ。よくあるんです、国内盤は。この盤だとスピーカーから出てくる音の位置が違ってます。US盤より上にある。聴きやすい音ではありますが、やはり原盤であるUS盤の方が繊細な音でナチュラル、残響感もあります。まぁ、音の好みはあるかもしれませんが。
そんな訳で、Tower of Powerのレコード収集には厄介な経験をしました。
もし興味ある方いらしたら、順当にUS盤を買われてイイと思います。UK盤狙う手もあるでしょうが値段も跳ね上がりますからね。④⑤は安いし絶対US盤をオススメします。
Tower of Powerはその後、70年代後半にコロンビア・レコードに移籍。いいアルバムも作ってます。またその話は次の機会に。では。