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【読書記録】彼女が言わなかったすべてのこと

読んだ記録を細々とつけていきます。


彼女が言わなかったすべてのこと / 桜庭一樹


桜庭一樹さんの作品を知ったのは学生時代。
少女七竈と七人の可愛そうな大人、赤朽葉家の伝説、荒野……、手に取って読んで、特にお気に入りの作品は自室の小さな本棚にそっと残しています。

図書館で桜庭一樹さんの作品を眺めていて、鮮やかな表紙に惹かれて借りました。

波間に届くささやかな声。何も起こらない波と波の間にいる時間。
主人公と中川くん、それから周りの人達とのそれはなんだかうらやましくて、どこか切ない。
うらやましいっていうのは、私があんまり人付き合いが得意では無いから、主人公:波間のように色々な人とすっと話し関係を描くことができる羨ましさ、ということで。
それともう一つ、波間が「男の人の性的対象から外れてほっとした」というシーンで、私はそれがすごくすごくいいなあ、と思ったのでした。
無で、漂っていたい、何者でもなく。
私の中には埋め込まれた、あるいは「こうあるべき男女の象」がしっかり根付いているのかもしれない、とも思って。

もう一回読みたい。

ここ数年の世界と日本の激動(のほほんと暮らしすぎていて忘れそうになることを、私はこれを読んで恥ずかしながら思い出したこともありました)と、色々な要素が重なって、夢中でページをずっと捲っていた。
もう一回読みたい。そんな作品でした。





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