ちょっと苦くて、やわく甘い
夜の喫茶店が好きだ。まるで誰ともかかわりがないみたいに、ぽつんと存在している気持ちになる。
実際は決してそんなことはなくて、誰かと繋がっているし一人ではないけれど、まるで自分の周りに柔らかな繭が存在しているみたいに感じるのだ。
ベール。あるいは、絹のようなレースカーテンのような、柔らかな布がそれぞれの身体に巻き付いているみたいに。その布は私達を包み、護り、あるいは、その中にひとりで――あるいはふたり以上で――とじこもって甘やかに、苦く、切なく、楽しく、夜を過ごす。
私はそんな