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【私が殺した少女】原尞の名作ミステリをレビュー(予告後ネタバレ)!
第26回は私が殺した少女/原尞をレビューします。
※尚、予告後にネタバレがあります。
1.基本データとあらすじ
1-1.基本データ
![](https://assets.st-note.com/img/1732367421-OUGMv7uJchfFxI52ljDkbPYL.jpg)
1-2.あらすじ
まるで拾った宝くじが当たったように不運な一日は、一本の電話ではじまった。私立探偵の沢崎は依頼人からの電話を受け、目白の邸宅へと愛車を走らせた。
だが、そこで彼は自分が思いもかけぬ誘拐事件に巻き込まれていることを知る……緻密なストーリー展開と強烈なサスペンスで読書界を瞠目させた直木賞受賞作。
2.主観的評点と向き/不向き
2-1.主観的評点
主観的評点は以下の通りです。
![](https://assets.st-note.com/img/1732367444-rA3JaTVBxY0s6hpXUwIti7m8.jpg)
2-2.向き/不向き
向いている人
・村上春樹のようなユーモア効いた小説を読みたい人
向いていない人
・性差別を感じさせる文章に抵抗がある人
3.ネタバレと感想
以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。
3-1.犯人と動機
誘拐の真犯人は依頼主の真壁脩本人による偽装誘拐。
脩の義兄である甲斐正慶の養子・慶彦が清香を喧嘩の後、瀕死にまで負わせてしまう。そこで小説家である脩はゴーストライターで性転換手術の為の費用が必要な清瀬と共謀し、偽装誘拐を計画。主人公の沢崎やバイクライダーの2人を利用し身代金を運ばせる。
誘拐時には清香は死亡。廃屋に清香の死体を遺棄(後に沢崎自身が発見)。沢崎は正慶の依頼により、息子たちの潔白を調査するが、その過程で異母子の千秋から清瀬にたどり着く。
瀕死の清香に死に至らしめたのは妻の恭子。天才ヴァイオリニストである恭子の将来に絶望したため恭子は清香を絞殺。最終的には一家揃って自首。
3-2.ネタバレ感想
誘拐の犯人が自作自演とはパターンとしてありがちだなとは思いました。
ただ、犯人当てミステリと言うより、ハードボイルド作品としては色々読む所が有りました。
こちらの作家さん、レイモンド・チャンドラーから影響を受けているそうで、端々にオシャレな比喩が出てきます(同じく影響を受けている村上春樹とはまた違う比喩表現の巧みさ)。
例えば次のような表現です。
たぶん"若い女性"というのはこの地球上で最も寿命の短い哺乳類で、しかも毎年生まれ代わって出てくるから、終戦後の欠食児童に芋飴を売るように楽な商売ができるに違いない。
あたりには人間がどれくらい遅く歩けるか試しているようなアベックと、どれくらい曲がって歩けるかを試しているような酔っぱらいサラリーマン以外に人通りは無かった。
捜査パート等々、ちょっと中弛みが出る部分も有るけど、読んで損は無いと思います。