【自由研究には向かない殺人】続編も出版!かつ丁寧な相関図つき!リトル・キルトンが舞台のミステリをレビュー(予告後ネタバレ)!
第25回は自由研究には向かない殺人/ホリー・ジャクソンです!翻訳ミステリのランキング上位の話題本を読了したのでレビューします。
※尚、予告後にネタバレがあります。
1.基本データとあらすじ
1-1.基本データ
1-2.あらすじ
2.主観的評点と向き/不向き
2-1.主観的評点
主観的評点は以下の通りです。
2-2.向き/不向き
3.ネタバレと感想
以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。
3-1.犯人と動機
サル・シン殺害の犯人は教師のエリオット・ワード。アンディ・ベル殺害の犯人は妹のベッカ・ベル。
エリオットは妻の死後、二人の娘(ナオミとピップの親友であるカーラ)を育てねばならず寂しさの最中にあった。そんな折、アンディと親しい仲になる。アンディは大学受験の資格欲しさにエリオットに近づいたのだった。
5年前のパーティの日、自分との関係を校内にバラすとのアンディの脅迫に耐え兼ねていたエリオットはアンディに重症を負わせる。アンディが死んだと思い込んだエリオットはアンディの恋人であるサル・シン(探偵役のラヴィ・シンの兄)を誘い込み、森の中で殺害。同時にアンディの証拠品を持たせ自殺に見せかける。事件当日のサルのアリバイを奪うよう友人たちも脅迫。
だが、アンディは実際には死んでおらず帰宅したベッカと口論となる。口論がヒートアップする中、アンディはエリオットから受けた重症が進行するが、ベッカは処置を施さず見殺しにし、水処理タンクの中に遺棄する。
ベッカは容姿に優れる姉のアンディと不仲に有り、自らを強姦したマックスに薬物を仲介していた姉が許せなかったのだった。
3-2.ネタバレ感想
600P近くと超ボリューム!なのですが、翻訳小説では珍しいくらいスイスイ読めました。未解決事件を自由研究(日本の夏休みの課題と言うよりは大学受験の提出課題のようなもの)にするという設定が新鮮だし、行動的で快活な主人公が良いですね。
登場人物が沢山出て来て動きが複雑ですが、翻訳が読みやすいのと、レイアウトが工夫されており、途中で人物相関図も挟み込まれるので人間関係がゴチャゴチャし出した時に整理の助けになります。
現代に馴染み深いガジェットも沢山出て来ます。Z世代の女子高生が探偵役と言う事で、Facebookの偽造ログイン、スマホの位置情報の活用、なりすましメール等々これでもかと現代風解決を展開してくれるので今の時代の読者にも馴染みやすいと思います。
犯人はそこまで正直衝撃的な感じでは無いのだけど、読む価値は有ると思います。背景にあるのは、今の大学受験の困難さとか、薬物問題とか暗いテーマなのだけど、鬱展開も無く面白いです。
難点を言うと、英国風ユーモアがところどころに出て来て、ちょっと分かりにくいのとピップの呼称がコロコロ変わる部分でしょうか。オススメです。