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【火星年代記】挿絵なしでも楽しめる?映画化もされたSFをあらすじつきでレビュー!

前回に引き続き、SF小説レビューです!第2回目は火星年代記/レイ・ブラッドベリです。

※尚、予告後にネタバレがあります。


1.基本データとあらすじ

1-1.基本データ

1-2.あらすじ

火星への最初の探検隊は一人も帰還しなかった。火星人が探検隊を、彼らなりのやりかたでもてなしたからだ。

つづく二度の探検隊も同じ運命をたどる。それでも人類は怒涛のように火星へと押し寄せた。やがて火星には地球人の町がつぎつぎに建設され、いっぽう火星人は……

幻想の魔術師が、火星を舞台にオムニバス短篇で抒情豊かに謳いあげたSF史上に燦然と輝く永遠の記念碑。著者の序文と2短篇を新たに加えた〔新版〕登場!

ハヤカワ文庫より

2.主観的評点と向き/不向き

2-1.主観的評点とポジショニング・マップ

主観的評点は以下の通りです。

ポジショニング・マップは以下の通りです。

2-2.向き/不向き

向いている人
・SFの有名作品を抑えておきたい人

向いていない人
・エンタメ寄りの作品を読みたい人

3.ネタバレ感想

以下、ネタバレを含みますので未読の方はご注意ください。








3-1.ネタバレ感想

SF入門企画で紹介されていたので手に取った一冊。色々と考える所が有りました。

短編集と言う形を取っていながらもどちらかと言うと連作短編と言うイメージで、火星で移住者達の中で起きたエピソードを時系列順に描きます。

個々のエピソードは個人間の諍いとか仕事の話なのですが、地球-火星の間での出来事(例えば移住者の殺到とか核戦争とか)を絡ませる事で短編内の背景を知る造りです。

本作での"火星"は言わずもがな、ヨーロッパ人に取ってのアメリカ大陸、火星人はインディアンのメタファーですね。

早い段階で火星人はほぼ死滅します。その原因が"地球人がもたらした細菌"によってと言うもの。これはヨーロッパ特有の伝染病をインディアンにもたらした移住者達、と言う構造と同じかなと。

その後、地球で核戦争が起きるのですが、移住者たちは我先に地球へ還り、残された人々は火星で新火星人としての営みを始める、と言う意味ではある種の終末的世界観、ディストピアにも近いなと思いました。

科学考証が厳密にある感じではなく、スター・ウォーズみたいにワクワクする感じの作品でも無いのだけれど読んで損は無いと思います。

3-2.印象に残った箇所

「一つ質問をさせてくれ。もしきみたちが火星人で、きみたちの国によその人間が来て、いろんな物をブチこわし始めたとしたら、どんな気持がする?」
「おれにはチェロキー族の血がいくらか入っているんだ。おじいさんから昔のオクラホマの話を聞かされたよ。この辺に火星人がいるとしたら、おれは味方になる」

月は今でも明るいが/P.127

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