【翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件】登場人物たくさん!あらすじつきでレビュー!!(予告後ネタバレ)
第21回は翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件/麻耶雄嵩です!僕が読んだのは1996年版なので新装版との違いは分かりませんが、レビューします。
※尚、予告後にネタバレがあります。
1.基本データとあらすじ
1-1.基本データ
1-2.あらすじ
2.主観的評点と向き/不向き
2-1.主観的評点
主観的評点は以下の通りです。
2-2.向き/不向き
3.ネタバレと感想
以下、核心の部分に触れておりますので未読の方はご注意ください。
3-1.犯人と動機
真犯人は今鏡絹代。
第二部のメルカトル鮎(龍樹頼家)の推理は彼の死により否定され、木更津の推理が展開される。木更津の推理によると、犯人は霧絵。連続殺人はエラリー・クイーンの国名シリーズの見立て殺人。
伊都と有馬の死は二人の体を同時に切断した際に伊都の首が有馬の体に乗った事による蘇生で、蘇生した伊都が密室を創り出した、というもの。霧絵は財産を目論むメルカトル鮎(椎月の息子)も殺害し自ら自殺。
エピローグでさらに私(香月)の推理が展開される。香月は蒼鴉城の隠し通路を抜け死亡した筈の絹代と接触。絹代はロシア皇帝の血を引くアナスタシア皇女。日本に亡命し、今鏡家となる。皇族であるプライドから自らの血を引く者達を殺害したかった。
絹代は自分の身代わりとしてひさを毒殺し、自身はひさとして生存。一連の殺人の手がかりを残し、木更津を誘導。
だが、香月が母である椎月の息子である事から真相を事前に知っていたため、事件は解決。香月はメルカトル鮎の双子の弟。二人は実朝と頼家と言う源氏の名前からの由来であった。
3-2.ネタバレ感想
どんでん返しどんでん返しどんでん返し…と3つ位それまでの前提を覆してくれます。一読だけじゃ完全に把握は仕切れない位の本格ミステリ。
カタストロフィーでの木更津の推理披露には思わず唸るものが有りました。クイーンの国名シリーズのパロディと謎掛け、島田荘司のようなあっと驚く驚天動地のトリック、一見するとバカミスっぽいのですが気にならない位の勢いでした。その分、エピローグは要らなかったかな〜。
チェスタトン、クイーン、カー、江戸川乱歩、中井英夫、小栗虫太郎、横溝正史とミステリの系譜を全部踏まえた上で新本格ミステリの完成形を見せてくれた印象です。
個人的には今年は海外の名作古典を一通り読むことを目標に掲げていたので読んだタイミングがちょうど良かったです。所謂、"壁本"とも言われるらしいのですが、僕は不思議と悪い読後感は全然しませんでした。