2020年7~8月の耳が惹かれたアルバム12枚とフーガの技法で好きなアルバム
7月と8月はこれら12枚を聴きました。どれもオススメです。
忙しい人のためのSpotifyプレイリストはこちら。(主に1曲目を封入)
12枚のジャンルの内訳は
Classicalが6枚、
Jazzが3枚、
R&B/Soulが1枚、
Latinoが1枚、
Rockが1枚。(※music.apple.comに準拠)
またそれとは別に
合唱は3枚、
古楽は3枚、
日本語詞は2枚。(※個人の判断による分類)
今年公開されたアルバムは10枚。
今年以前のアルバムは2枚。
選ぶ基準は
「(自分が今)何度も聴きたいかどうか」、
「(鎮痛剤のように自分の頭が今)スッと落ち着くかどうか」です。
(※頭はゾーンに入り落ち着くが、心は音楽の面白さで燃えるぜヒートする場合もある)
音楽の効能用法は人それぞれだと思いますので、あくまでも目安に。
以下、順不同に感想とメモ。
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01.J.S. Bach & Reinhard Febel: 18 Studies on 'The Art of Fugue - 'Tal & Groethuysen
Date First Available : July 14, 2020
Manufacturer : Sony Classical
Genres : Classical
なにこのフーガの技法。耳を疑った。現代のドイツの作曲家による二台ピアノのための編曲(再解釈)。重複する鐘の音のような高音、バグったノイズのような高音が挿入されてる。音響的に心地いい。原曲の魅力はそのままに対位法は対位法なのだが、パラパラとまぶされた音のおかげで環境音のような、アンビエントミュージックのような趣が出てくる。そう聴くように耳が動く。 心地よさに胸が締め付けられる。この音の緊張感によるイタ気持ちいい感覚は久しぶりだ。落ち着く。個人的にDisc1の04,05とDisc2の04,07と最初と最後の曲が好み。
編曲者のラインハルト・フェーベルは1952年生まれのドイツの作曲家。
演奏のタール&グロートホイゼンは1985年に結成されたピアノ・デュオ。ヤアラ・タールはイスラエル出身、アンドレアス・グロートホイゼンはドイツ出身のピアニスト。
原曲はフーガの技法 BWV1080。J.S.バッハの後期の作品。晩年まで書き続けていた。(個人的に)最高に頭が整理されて心が落ち着くバッハ作品の一つ。
HWVによるこのアルバムの作品説明のリンクはこちら。
記事の後半(11.)に別のフーガの技法の演奏のオススメを貼ったのでよければそれもどうぞ。
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02.Spem in alium. Vidi aquam (Binaural Version) - Suzi Digby & Ora Singers
Date First Available : June 29, 2020
Manufacturer : harmonia mundi
Genres : Classical
落ち着く合唱。最高。このアルバムは普通の収録とバイノーラル3Dオーディオ収録の二つが公開されている。こちらは3Dの方。いつもこのUSB-DACで疑似7.1チャンネルに変換して聴いてるので、バイノーラル3D化の恩恵はよく分からん。と思ったが確実に響きが違う。奥行きがある。普通のイヤホンでもバイノーラル3Dはよく聴こえるので迷ったらこっちかもしれない。
録音と編集によるものだが、このアルバムは合唱の中でも特に各パートが離れている。響きの一体感以上に、音の各旋律の立体感が重視されてる。合唱の録音において密集した一体感か位置的な立体感かどちらを優先するかは好みとヘッドホン(イヤホン・スピーカー)の特性に左右されると思うのでお好みで。もちろん私はどちらもいいと思う(ザ・マンの画像略)。
演奏は英国の合唱団Ora Singersと指揮Suzi Digby。
曲目はルネサンス期のイングランドの作曲家トマス・タリスとウィリアム・バードを中心に構成されてる。他の作曲家は知らないが似たような出自の作曲家なのかな。気になった方は公式のアルバム説明ページをどうぞ(英語)。
ちなみに最初と最後の2曲は過剰多声楽曲で毛並みが異なる。最初はトマス・タリスの有名な40声モテット。最後は現代作曲家ジェイムズ・マクミラン(James MacMillan)による返答曲(40声)で締められてる。40声いいね。積極的に聴かなかったがこのアルバムで良さ分かった。
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03.Djesse Vol. 3 - Jacob Collier
Date First Available : August 14, 2020
Manufacturer : Decca (UMO)
Genres : R&B/Soul
音の全てが楽しい。面白い。いい意味で若いなあ。こんな脳みそのギア上がった速さによく対応できるなあ。ノリと響きが淀みなく目まぐるしくあれよあれよと移ってく。でも同時に全体的なグルーヴがダウナーなR&Bで不思議と落ち着く。いいよね。落ち着く。かつ楽しい音楽。
演奏と作曲はジェイコブ・コリアー。1994年生まれの英国のミュージシャン。CDジャーナルによる作品説明のリンクはこちら。個人的にこの方のYoutube時代のアカペラ作品も大好きなので次の4部作目では原点に戻ったのも聴いてみたいかも。今やるとまた違ったのが出来そう。もちろん今作も十分聴き応えがあるので、そうだジェイコブ・コリアーが2人欲しい。
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04. La bellezza: The Beauty of 17th Century Violin Music - Lina Tur Bonet and Musica Alchemica
Date First Available : March 2, 2020
Manufacturer : Pan Classics
Genres : Classical
格好いい。落ち着く。リナ・トゥル・ボネの躍動感と生命力あふれるヴァイオリンいいよね。弦をザリザリ擦り、時には荒ぶるあの感じ。今回は楽器にヴァイオリンとヴィオラ・ダモーレを使ってる。02,11,13,15の演奏好き。後半のアルバムの流れ好き。
演奏者のリナ・トゥル・ボネはスペインのバイオリニスト。
曲は17世紀のバロック音楽を演奏している。有名所ではビーバーやブクステフーデの曲を演奏してる。
HMVの作品説明のページはこちら
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05. Finding Harmony - The King's Singers
Date First Available : November 20, 2019
Manufacturer : Signum Records
Genres : Classical
肩の力を抜いて落ち着いて聴ける。同声合唱の安定した響き。安心のキングスシンガーズの柔らかくて厚みのある響き。落ち着く。暖かくて自然体な演奏。気楽に聞ける。楽しい。学校の校内の放課後に自然とセッションが始まる楽しさに近い。05.Bread and Roses好き。
演奏はイギリスの声楽グループ、キングスシンガーズ。1968年に結成された後、メンバーを入れ替えながら活動を続けている。ちなみに今のメンバーの最古参は2010年に加入したBassの人。
HMVの作品説明ページはこちら
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06. 民謡クンビエロ(フロム・トーキョー・トゥ・ボゴタ) - 民謡クルセイダーズ & Frente Cumbiero
リリース日 : 2020/6/17
レーベル: P-VINE RECORDS
Genres : Latino
EP盤。
日本民謡とラテン・リズムの融合。面白い。気持ちが盛り上がる。同時に民謡の節回しの不思議な懐かしさと落ち着きがある。Terrariaのマルチやってる時は大体これを聴いてた。コラボにより前作よりも音が厚くなりグルーヴ感、お祭り感が出てこれは良い。
ディスクユニオンによるこのアルバムの作品説明ページのリンクはこちら。
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07. 風吹く方へ - アンテナ
リリース日 : 2020/1/22
レーベル : テイチクエンタテインメント
Genres : Rock
浮遊感が落ち着く。ハモリいい。ハモリが魅力的なバンド好きなんですよ。という訳で応援してます。歌詞もいい。02.のサビのスタディースタディースタディーという歌詞が耳に残りつい口付さんじゃう。
TOWER RECORDSによるこのアルバムの作品説明ページのリンクはこちら。
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08. After Silence - Voces8
Date First Available : April 29, 2020
Manufacturer : VOCES8 Records
Genres : Classical
響きのピュアに耳がピクッとする。ハモリの繊細さの緊張感が高くて聴いてると自分が演奏してる気になっていい意味でヘトヘトになる。 演奏時の神経すり減らす緊張感を思い出してしまう。なので度数の高いアルコールを少しずつ飲むように少しずつ聴いてる。落ち着く。
対照的なので書くが、上のアルバム02のOra Singersとは作りが真逆でこのアルバムは各パートの距離が近い密集した録音・編集となっている。一体感がありグループの演奏が一つの楽器から奏でられるように調和してる。もちろんどちらが上とかではなく好みになる。この二つのアルバムを聴き比べると録音の方向性の違いが楽しいかもしれない。
公式によるこのアルバムの作品説明ページのリンクはこちら。
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09. Breathe Deep - Oscar Jerome
Date First Available : April 22, 2020
Manufacturer : Caroline International (License External)
Genres : Jazz
ダウナーなグルーヴで落ち着く。格好いい。
演奏者はオスカー・ジェローム。イギリス東部、ノーフォーク出身で現在はサウスロンドンを拠点とするギタリスト兼ソングライターらしい。
公式のアルバム説明はこちらのリンクから。
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10. Sounds of Crenshaw & Jammcard present: Terrace Martin's Gray Area Live at the JammJam - Terrace Martin & Gray Area
Date First Available : January 31, 2020
Manufacturer : Sounds of Crenshaw / Jammcard / EMPIRE
Genres : Jazz
ごちゃごちゃして楽しい。ごちゃごちゃして落ち着く。ノリに体が揺れる。
後半にはベン・ワンデルやカマシ・ワシントンも参加している。
リーダーのテラス・マーティンは1978年12月28日生まれ、米・ロサンゼルス出身のミュージシャン/シンガー・ソングライター/プロデューサー。
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ここから下は2020年以前のリリース
11. Bach: Die Kunst der Fuge - Sit Fast
Date First Available : January 27, 2017
Manufacturer : Eloquentia
Genres : Classical
J.S.バッハのフーガの技法、ビオラ・ダ・ガンバ4重奏の弦編曲バージョン。
フーガの技法は昔好きで聴き比べをしていたが、Spotifyの登場により様々なアルバムを簡単に聴けるようになったので改めてまた演奏を漁ってみた。これは新しく聴いた中で特にストライクだった演奏。落ち着く。
音が調和する部分と離れる部分が代わる代わるやってきて心地よい。音楽の快楽の一つに、音がくっついたり離れたりするその緩急が繰り返される悦びってあるよね。好き。
HMVによる作品紹介ページはこちら。
せっかくなので他のフーガの技法の個人的によく聴くアルバムを貼る。
01. Les Voix Humaines
ヴィオール四重奏 (2013)
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02. Wolfgang Rubsam
ラウテンヴェルク(リュートハープシコード)独奏 (2017)
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03. Keller Quartett
弦楽四重奏 (1988)
Spotify
04. Fretwork
ビオラ・ダ・ガンバ(ヴィオール)6重奏 (2002)
Spotify
ここにないアルバムもどれも良い。ぶっちゃけフーガの技法は全ていい。落ち着く。話し逸れるが音楽の捧げもの(BWV1079)も全ていい。落ち着く。
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12. Joy Unlimited - Harry Beckett feat. Nigel Morris, Daryl Runswick, Ray Russell, Brian Miller, Martin David
Date First Available : July 3, 2020
(※これは初CD化の日付であり、元はレコードにて1975年に公開)
Manufacturer : Cadillac Records
Genres : Jazz
カッコよ。どストレートにカッコよ。トランペット格好いい。
演奏者のハリー・ベケットは1935年のイギリスのトランペッター、フリューゲルホルン奏者。チャールズ・ミンガスと共演したりしてる。
DiscUnionによる作品紹介はこちら
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以上
番号は便宜上つけた数字です。順不同です。
ジャンルの参照はmusic.apple.comより。
また他、リリース日などの情報はamazon.com(米国)に従っています。情報がなければ日本のamazon.co.jpより参照してます。
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こいつ今月は「格好いい」という語彙を新しく手に入れたらしいな。
そういやうちの今の指揮者が「心は熱く、頭は冷静に」というのを口癖にしてて、いいなと思った。元は漫画の言葉らしい。私の座右の銘にいただきマンモス。
そういや米amazonの商品説明のページ、labelの項目がManufacturerに変わってた。内容は同じ。あとジャンルの項目がなくなってた。なのでジャンルの参照はApple musicからいただきました。これはありがたマンモス。
そういや上に書いたWolfgang Rubsamのフーガの技法、奏者が好きなのと実際の音が好きなのでヘビロテしてたが、楽器がラウテンヴェルク(リュートチェンバロ)なのね。今まで普通のチェンバロで演奏してると思ってた。
「そういや」って3回も言ってる。
書き散らしたのでいつものようにこの記事は3日間は清書・加筆するかもしれない。しないかもしれない。ゆるしてくれるかだろうか、 ゆるしてくれるね。 ありがとう。 グッドトリップ(藤子Fの画像略)
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