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益田ミリーわたし恋をしている。

益田ミリの作品は、ずっと読もう読もうと思い続けてきたものの1つだ。
先月末、東京に行くためスワンナプーム空港へ向かう途中で
本を忘れてしまったことを思い出した。
私は、飛行機の待ち時間、機内、ホテルで眠る前など旅行には本が欠かせない人間なのである。
スワンナプーム空港に本屋があったはずだと思ったが、東南アジアで一番の規模を誇る空港である。
チェックインに予想外に時間を取られてしまったことも相まって、広い空港内では本屋を見つける時間がなかった。

飛行機では、ふて寝をして
(どこでも寝れるので友人から眠り姫と呼ばれている)

池袋に到着して真っ先に本屋に向かい、いろいろと見回っていると
益田ミリの作品が目に入る。
あ、そうだそうだ、彼女の作品読みたいんだったと思いこの機会に購入。
東京の旅は彼女にお供してもらうことに決めたのである。

内容は、五・七・五の川柳でいろんな恋の物語が描かれているというもの。
短いエッセイとなっており、スケジュールが詰まった旅の合間にも読みやすい。
不本意ながら、周囲から恋多き女認定をされている私にとっては、
川柳1つ1つが共感の連続だった。
切なくなったり、笑ってしまったりしながらどんどん読み進めたあと
胸に残った気持ちは「みんな幸せになればいいなあ」ということだった。
清々しさをくれる一冊。
恋をしている最中は、一生懸命で、好きな分だけ憎さもセットで訪れるものだった。
ちなみに直近、彼に私が吐き捨てた言葉は「絶対後悔するからね!」だった。
あれから、彼が後悔しているかどうかについて思いをはせたことはなかったけれど、今なら思う。
後悔なんてしないで、楽しく生きてくれていればいいなあと。

「友達としての彼なら必要ない」
あーわかるわかる。白か黒、0か100の決断をする私っぽい。
結局友達でもよかったのかなあ、、なんて思うけど
友達でいればそれはそれで絶対満足しないこと、自分がよく分かっているのである。

「キミのこと忘れる私を覚えてて」
前の彼と行ったお店に、今の彼と行ってやるのだ。
あー、これもわかるわかる。
女性は記憶を上書き保存できる脳を持っているので、
どれだけ悲しい別れをしたって、今の彼と美味しい食事を食べたなら
すっかりいい思い出の場所に塗り替えることができるのだ。
そうして、どんどん塗り替えていく私を忘れてないといいなあという。
身勝手な生き物なのかもしれない。

若いころは、みんなあまり人に話さなかった恋模様も
20代後半になったころから、友人同士で、えらくざっくばらんに話すようになった。
意外と、友人たちも同じような気持ちで仕事と私生活をやりくりしているんだと思って、戦友のような気分になることがある。
失恋して、泣いて、目がパンパンにふくれて。
そういう朝のために、高級ブランドの伊達メガネを買ったという
私より恋の多き女の友人。
「少しでも気分が上がるからさ、泣いても、あの眼鏡で行けばいいって」
読み終わった後、彼女のことを思い出しLineした。
近況報告をしたら、お互い変わらず絶賛恋愛中であったから、笑ってしまった。

女友達と、もう何杯目か分からないワイングラスを持ちながら語った夜を思い出すような。
共感しあえてうれしい夜を思い出すような。
過去の一生懸命恋した私自身が目の前に現れたような、そんな作品である。



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