読書記録1月 閻連科「中国のはなし」、ミランダ・ジュライ、「親といるとなぜか苦しい」
中国のはなし
2024年の一冊目は大好きな閻連科先生から。表紙がちょっとお正月ぽい。
〇あらすじ
著名な小説家である閻連科は、親戚の集まりで中国の田舎に帰省した。集まりが終わったころ、見知らぬ青年が閻連科に話しかけてくる。「わたしのとっておきの話を聞いたら、先生はきっと小説に書きたくなるはずです。だから私の話を買ってくれませんか」と。
〇感想
見知らぬ人間の話を信じるかどうか。まあ、普通は信じないけど、その設定で小説が進んでいくところも面白い。
何が嘘かまことかわからない。疑わしいと知りつつ、信じたり疑ったりしながら読み進めていくのは読書の醍醐味だろう。
中国の現代小説には「そんなことあるかいな」という、荒唐無稽で壮大なストーリーがあるけれど、語る力が凄まじいので、相当な長編小説でも最後まで読まされてしまう。
(余華「兄弟」とか閻連科「愉楽」「丁庄の夢」などもストーリーが壮大でめちゃくちゃ面白い。実際の歴史を背景にしているので、中国人が読んだ時にもこれらを荒唐無稽と感じるのかはぜひ知りたいところ。)
私はそういうパワフルな中国小説が大好きで、ここ数年はまっている。「三体」以外にも面白い小説がたくさんあるので、もっと知られて欲しい!!!と思っている。
あなたを選んでくれるもの
二冊目は、週末の一泊二日旅行の間に読んだミランダ・ジュライの「あなたを選んでくれるもの」。長らく積読になっていた。
〇内容
映画の脚本執筆に行き詰まっていたミランダ(作者)は、フリーペーパーの売買コーナーに目をとめ、売主に会いに行きインタビューすることを思いつく。普段と違う行動をすれば、脚本執筆の打開策が見えるかも、みたいな動機からだ。この本は、そのインタビュー集。 ノンフィクション。
〇感想
インタビューにはカメラマンも同行していて、本人や家の中の写真などもあり、リアリティがすごくある。この本でなければ知ることができないアメリカの一般人の人生がつづられていて興味深い。
しかし、気になったのは作者が彼・彼女たちに対して、自分とは違う世界の人という線引き(変人扱いですらある)をすることに全くためらいが無いこと。
自ら押しかけて行ったのに、室内のにおいがすごいとか、とりとめもない話を長々と聞かされたとか、読者が申し訳なく思ってしまうような表現が随所に出てくる。他人の人生や家の中というプライベートをそのような表現で出版し、水面に晒してしまう感覚には疑問が残った。
親といるとなぜか苦しい
三冊目はちょっと長くなったので個別の記事で書きました。
親との関係性に悩みがある方にお勧めの本です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。