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ferm LIVING Stories vol.52 庭のお話

今回のテーマは『庭』。庭を愛する二人の女性に話を伺いました。デンマーク流の庭の楽しみ方が垣間見られるかもしれませんよ。素敵な写真とともにお楽しみください。

〜 ガーデン・リビング 〜

素晴らしいアウトドアライフを求めて、二人のガーデン愛好家に美しい庭を作る極意を教えてもらった。

庭とは、多くの人にとって忙しない日々の暮らしの中の息抜きの場である。雑草を抜くという単純な作業が、忙しい心を今に集中させ、植物を成長させることに考えを集中させることができるのだ。

しかし、庭が満たすべきニーズとは?毎日の暮らしに寄り添うようなアウトドア空間をどのように作ればいいのだろうか?そんな疑問を解決するべく、私たちは二人のガーデン愛好家に話を聞くことにした。

meltdesignstudio を運営する Dorthe Kvist は、プロのガーデンデザイナーであり、この10年、多くのクライアントのさまざまな姿形の美しい庭づくりを手助けしてきた。

もう一人、Jeanette Lindholdt Madsen は、コペンハーゲンにある ギャラリー Bo Bjerggaard のクリエイティブ・プロジェクト・マネージャーだ。Jeanette にとって Valby にある自身の美しい庭は、忙しい日常から逃れ、花やジャガイモの花壇を楽しむことのできるクリエイティブなサンクチュアリなのだそう。

〜 庭のはたらき 〜

Dorthe Kvist と Jeanette Lindholdt Madsen の二人にとって、庭はさまざまな意味において精神的な場所だ。

子供の頃、庭はよく魔法や冒険を連想させた。多くの人にとって緑豊かな庭との最初の出会いが、自然の魔法に興味を抱かせるきっかけとなるのだ。しかし、年齢にかかわらず冒険ができて驚きのある庭は、魅力的で活気のある場所でもあることが多い。庭の魅力のひとつに、移ろいゆく季節を楽しむことが挙げられる。

春、私たちの目を楽しませるのは、昨年の秋に大切に植えた球根たちが陽気な春の日差しの暖かさに誘われて芽を出す姿。夏の盛りには、家庭菜園でよく育ったおいしい野菜を収穫することもしばしばだ。庭はある人にとっては「冒険」であるように、具体的で実用的な機能をもつ屋外空間としての役割も大きい。

「庭は冒険でなければならないと思うのと同じように、何かしらのニーズを満たしてくれていると素敵だなとも思います。例えば夏の長い夜、親しい友人たちと外で食事をしているとき、あちこち走り回りたくはないので、アウトドアキッチンがあるといいですよね。アウトドアキッチンは、今その瞬間のギフトになるのです」- Dorthe Kvist

自然やガーデニングとの出会いの中で、人々は日常生活を支配している「コントロール」を手放すことを学ぶことができる。Jeanette Lindholdt Madsen にとって庭の手入れをするとき、コントロールを失うことは全くもって自然な状況なのだ。

「すべてをコントロールすることはできないことを、庭が教えてくれました。ある年にはうまくいっても、翌年には失敗するかもしれません。自分ではコントロールすることのできないプロセスが、とても楽しいんです。私にとって自分の庭は、何かを生み出す場所。自分の体と五感を使うことのできる、クリエイティブな空間です」


ガーデニングを始めると、クリエイティブな気持ちや創作意欲が湧いてくることがよくある。なぜならそれは、庭にはさまざまな使い方と目的があり、自分の庭をよく知ることで、年ごとに変化することができるからだ。もっとも重要なのは、「やる気」と「思い」が自分にあること。特に、ハードワークで手に負えないように思えるときは、「やりたい」と思うことが大切になる。


「私にとって庭は、決して面倒なものではありません。なかでも準備作業は楽しくて、準備作業の良し悪しが出来上がる庭のすべてであることも実感しています。草取りや土壌改良はとても素晴らしい投資ですし、春になり、コンポストの山を整え、アパートのあちこちにあるたくさんの小さな温室の中で種が芽を出すことに、いつだって気持ちは満足しています。私が庭にそれらを運び出すと、子供たちはみんなすごくホッとするみたい」
- Jeanette Lindholdt Madsen

苦労して作った庭を本当に満喫できるのは、夏から晩夏にかけてである。そこで、庭のあちこちにちょっとしたオアシスを作っておくと、庭仕事の合間にホッと一息つけるのでオススメだ。


「庭をデザインするとき、私はいつも小さな空間を作ります。ウッドテラスにはゆったりとしたラウンジソファを置いて、友人や家族を招待して庭の景色を楽しめるようにします。ハンモックを木に掛けておけば、暑い夏の日には、葉を揺らす風の音に耳をすませながらお昼寝したくなることでしょう。食べられるものを植えるスペースも必要ですよね。ガーデンフレームを使った家庭菜園やベリーの茂み、庭を訪れる動物や昆虫のために蜜をたっぷり蓄えた花壇などです。焚き火スペースもあるといいでしょう。パンを焼いたり、夜遅くまで怪談話に花を咲かせるなんて最高です。これもまた、この庭を幻想的なものにしている大きな要因なのです」- Dorthe Kvist

〜 美しい庭のための7つのヒント 〜

♪野外で料理を楽しむのなら、庭にアウトドアキッチンや焚き火スペースをつくるのが理想的。

♪花壇とプラントポットの両方を使うと、庭にバリエーションと視覚的な面白さが生まれます。

♪キュウリやトマトのような野菜を育てたいのであれば、温室はオススメ。ただし夏季は気温が上がるので換気は忘れずに。そうしないと、大切な植物が茹ってしまいますよ!

♪生き物の多様性が重要とされる時代です。「昆虫ホテル」を作り、自然界にいる多くの虫や蝶にとって良きホストになってあげましょう。

♪小さな魚の泳ぐ池、美しい鏡のプール、かわいらしい鳥の水浴び場など、小さな水辺はどんな庭にも静けさをもたらします。

♪庭も楽しまなくては!快適な屋外用の家具をスタイリングして、小さなくつろぎのオアシスを作ってみましょう。

♪5月から9月にかけて豪華な花束を作りたいのなら、季節ごとに咲く花の種を植えておくと良いでしょう。

〜 専門家のガーデンカレンダー 〜

JANUARY
一年の始まり。少しずつ、庭をどのようにしようか計画を立て始めます。ゆっくりと種のカタログを眺め、新たなガーデンプロジェクトを始動させましょう。

FEBRUARY
この時期になると、多くのガーデン愛好家たちは焦りはじめます。外で活動するには寒すぎますが、2月下旬に少し頑張れば、室内の小さな温室で発芽させることができるんです。

MARCH
3月といえば大掃除。芝生を刈理、落ち葉を集めてコンポストの山へ。テラスを磨き、庭の家具にはオイルを塗ります。

APRIL
4月になれば春の花をポットに植えたり、家庭菜園の種まきの準備をしたり、芽を出す前のジャガイモを土に植えたり。春の素晴らしい日差しを思いっきり満喫しましょう。

MAY
あらゆるものがうごめき始める5月。トマトやピーマン、キュウリなどを温室に、レタスやエンドウ豆は家庭菜園に植えます。イチゴの苗の下の土は藁で覆いましょう。チューリップは見頃を迎えます。

JUNE
6月、ついに最初の作物の収穫ができるようになります。ここでは新鮮で柔らかなレタスや張りのある早生エンドウ豆、初物のいんげん豆やかぼちゃが楽しめます。

JULY
7月はまさに庭が楽しみの宝庫となる月です。夕方の水やりやカタツムリの駆除を忘れてはいけません。花を摘んで花束にしたり、毎日菜園に収穫に行くことができます。温室を訪れた際には、どうか換気を忘れないで。
そして最後に。たくさん休憩をとって、青々とした美しい庭を楽しんでください。

AUGUST
ダリアや香りのよいバラの豪華な花束を、友人みんなで楽しむ月です。実作業としては、家庭菜園の空きスペースに緑肥を撒いたり、イチゴの苗を抜いたりしましょう。鳥やのどを乾かせた虫たちに水をあげるのもお忘れなく。

SEPTEMBER
春に美しく花を咲かせるには9月が重要です。チューリップや水仙、ヒヤシンスなど、たくさんの球根を植えましょう。樹木や花壇の花々、多年草などの大きなものを植えるのもこの時期がよいでしょう。

OCTOBER
秋の庭では、幻想的なひとときを過ごすことができます。焚き火をし、毛布をかぶり、熱いお茶を飲みながら、最後の暖かい日差しを楽しみます。10月になると、少しずつ庭の片付けや宿根草の株分け、お気に入りの植物の種集め、果樹の剪定、ハーブの最後の収穫などを行うことになるでしょう。

NOVEMBER
11月になったら霜で壊れないように、鉢の受け皿を外すとよいでしょう。水入れがある場合は中を空にして、屋外用の家具を乾燥した場所に置きます。そうすれば、春に再びすべてが始まることを楽しみにできるのです。

DECEMBER
庭は今眠りについています。運が良ければ、積もったばかりの雪で化粧された姿が楽しめます。

***

いかがでしたか?

読み応えもたっぷりなら、訳しごたえもたっぷりでした(苦笑)。素朴な写真たちからは、より自由でリラックスした空気が漂っていて、色とりどりの花や野菜が目を楽しませてくれますね。気持ちのいい日は朝から庭づくりを楽しんでみようかな……という気にさせます。

Dortheさんのお話で「焚き火スペースでパンを焼く」とありますが、これは「snobrød」と言って(発音は怪奇なのでカタカナ表記しにくい……)棒にパン生地をツイストして巻きつけ、焚き火に炙るようにして焼くパンのこと。デンマークのキャンプファイヤーの定番です♪生地を欲張って巻きつけすぎると、火の中にボテッと落っこちるので要注意です(笑)。

(ちなみに余談ですが英語のテキストではこの部分、マシュマロを焼くになっていました!確かにこっちの方が馴染みがありますよね)


今年こそ、楽しいガーデンライフを送りたいものです。


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