江戸っ子の ファースト・ペンギン
昨日は気温も湿度も高く、蒸し暑い一日でした。
ところが今朝は一転、また冬のように寒く、冷たい風も吹いています。
少し小雨も降っていて、グレーの雲が空一面 広がっています。
こざる達は、いつものように わいわい お喋りしながら、
朝ごはんの仕度をしています。
「今日は平成最後の金曜日なんだよ。」
「何でも、平成最後だよねー。」
「来月になったら、令和最初の、ばっかりだね。」
こざる達は、大笑いします。
ラジオからは、5月1日に婚姻届を出す人たちが増えることを予想して、
役所では対応におわれているというニュースが流れてきます。
「何でも、最初って縁起がいい感じがするもんね。」
「そうだね、一番!って、いい気分だよね。」
「そういえば、昨日は世界ペンギンの日だったんだよ、
ラジオで言ってたよ。」
昨日、4月25日は、世界ペンギンの日でした。
南極にあるアメリカのマクマード基地に、
毎年4月25日になるとアデリーペンギンが姿を見せるので、
研究者たちが祝ったことが由来だそうです。
「へー、そうなんだー、ペンギンかー。」
「ペンギンで、一番といえば、ファーストペンギン!!」
「りこちゃんのことだよ!」
こざる達は、また笑います。
ファーストペンギンとは、
集団で行動するペンギンの群で、天敵が待ち構えている海に、
一番最初に飛び込む1羽のペンギンのことです。
アメリカでは、勇敢にリスクを恐れずに初めてのことに
チャレンジする精神の持ち主を
敬意を込めて、ファーストペンギンと呼びます。
りこちゃんは、リスクを恐れずに勇敢にチャレンジする立派な人
というわけではありません。
今でこそ 80を過ぎて、穏やかな おばあさんとなりましたが、
江戸っ子なので、昔は短気でせっかちで、
じっくりゆっくり待つということが苦手でした。
「全部聞かないうちに『それ、私がやる!』って、
飛び出してっちゃうんだよね。」
「特に困っている人がいると、パーッと走って助けに行っちゃうし。」
「おっちょこちょいの 慌てん坊なんだよね。」
こざる達は、また笑います。
「ファースト・ペンギンは、最初に海に飛び込んだら
すぐにセイウチとかシャチに捕まっちゃうリスク大だよ。」
「そのファースト・ペンギンが犠牲になっている間に、
後から飛び込んだペンギン達は、無事に魚を獲ることができるのかぁ。」
こざる達は、納得がいかない顔をしています。
「嫌なことでも、誰かがやらないとならないことって、
たくさんあるよね。」
「もうすぐ令和の時代になるけれど、
そういう正直者が馬鹿をみるみたいな世の中にならないといいな。」
ラジオからは、こざる達の大好きな歌が
やさしく静かに 聴こえてきます。
「ゆれる海に潜るような
何もきこえない ひとりぼっちのとき」
松任谷由実の『ずっとそばに』です。
朝ごはんの仕度が出来たようです。
「今朝は、鮭と たらこと 昆布と 梅干しの おにぎりだよ。」
「具沢山の お味噌汁もあるよ。」
「りこちゃん、呼んでくるねー。」
こざるちゃんが、歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。
「きみはハンター もがきながら
宝物みつけ きっと戻って来る」
「りこちゃーん、朝ごはん、出来たよ。
今朝は、美味しいおにぎり作ったよ! 皆で 一緒に食べよう!」
台所では、ユーミンのやさしい歌声が聴こえています。
「そっと呼んで 胸の奥で ずっとそばにいるわ
今日も 明日も ずっと」
こざるカフェは、今日も ゆっくり始まって
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。
読んで下さって、どうもありがとうございます。
なんと、この時期に インフルエンザが流行っているようですね。
よい毎日でありますように (^_^)
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