お皿を並べて 美味しく食べれば バラ色の人生
「今日は、ちょっとフランスに行ってみようよ。」
こざるちゃんが、どんよりと曇った空を見ていいます。
「そうだね、こういう日は より明るく 楽しくがいいね。」
「うん、そうしよう!」
こざる達は楽しそうに話していますが、
もちろん 本当にフランスに行くわけではありません。
昨夜 こざる達は、NHKのフランス語の番組を録画しておいたのです。
フランス語の講座なのですが、
「旅するフランス語」という番組名の通り、
フランスを旅しているように作られていて、
りこちゃんも こざる達も、楽しみにしているのです。
「りこちゃんーん、今日は ちょっとフランスに行ってみようよ。」
「あら、いいわねー。」
りこちゃん、いつものようにニコニコ、嬉しそうです。
今日は フランス、リヨン郊外の素敵なお城が舞台です。
「りこちゃん、お城、本物のお城だよ。」
「うん、綺麗なお城だねー。」
このお城はフランス料理界の偉大なシェフ、
ポール・ボキューズさんが作った学校で、
フランス料理に関わること、料理、サービス、
レストランやホテルの経営を学べて、
学校内にあるレストランでは、一般の人たちも食事をすることができます。
「りこちゃん、このお城、フランス料理の学校なんだって!」
「まぁ、学校なのね。」
「すごいねー、19世紀のお城なんだって!」
お城の中に、入っていきます。
建物内は、ステンドグラスや、調度品など、
美しいものたちがたくさんあり、
きちんと手入れされていて、明るくて、清潔な様子です。
「わぁ、ここは礼拝堂だったんだって!」
りこちゃんも こざる達も、綺麗なステンドグラスを
うっとりと眺めます。
「りこちゃん、料理も 綺麗で 美味しそうだね。」
「そうねー、とっても綺麗ね。」
テーブルセッティングを実際に 教わっている場面もあります。
ナイフやフォーク、お皿、ワイングラス、ナプキンを
美しく並べていきます。
「簡単そうに見えるけど、難しそうだね。」
「うん、綺麗にきちっと並べるのは 簡単ではないんだね。」
テレビでは、お客さまを迎える儀式みたいですねと 話しています。
すると、テーブルセッティングを教えてくれた給仕長の先生が、
そのとおりです、テーブル芸術ですから、と言っています。
「わぁ、りこちゃん、テーブルセッティングも芸術なんだね。」
「そうねー、きちんと並んでいて、とっても綺麗だものね。」
りこちゃんも、毎日 料理をしていた頃は、
食事の時には、いつもテーブルマットを敷いて、
食器やナイフ、フォークをきちんと並べて、
箸と箸置き、ナプキンを 置いていて、そういうことが とても好きでした。
高級品でなくても、買ってきたお惣菜でも、
ちゃんとお皿に出していました。
そういうこと、そういうスタイルが好きなのです。
「そうすると、目にも美味しく、食べても美味しいのよ。」
そう言って、スーパーで買った あんパンも、
袋から出してお皿に置いて、
お茶と一緒に 「おやつよー。」と こざる達を呼んでいました。
「餌じゃないからね。」
よく そう言っていました。
それで、今も、こざる達がそれを引き継いで、
おやつの時間があるのです。
「どうってことない おやつも、ちゃんとお皿に出して、
お茶と一緒に食べて、楽しくお喋りすれば、とってもいい時間なんだ。」
番組が終わりました。
「じゃあ、ぼく達も、おやつにしよう!」
こざるちゃんが そう言って、おやつをとりに台所へ向かいます。
りこちゃんは、その後ろ姿を 嬉しそうにニコニコ見ています。
曇っていた空は、明るく晴れてきたようです。
ラジオからは、シャンソンが聴こえてきます。
独特な声のエディット・ピアフの『バラ色の人生』です。
こざるちゃんも 嬉しそうに 一緒にハミングします。
こざるカフェは、今日もゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。
読んで下さって、どうもありがとうございます。
今日は、沈丁花の花が だいぶ大きくなっているのを発見しました。
よい毎日でありますように (^_^)
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