鎮守の森の My Blue Heaven
今日は どんよりとした グレーの雲で覆われた空です。
「冬なんだもんね。」
こざるちゃんは、空を見上げて言います。
それでも 二人のこざる達は、マフラーをキュッと巻いて、
おそろいの毛糸の帽子をかぶって、出かけます。
「いってきまーす。」
「いってらっしゃい。気をつけてね。」
カフェ当番のこざる達が見送ります。
二人は すぐ近くの神社へ、正月飾りを納めに行くのです。
神社では、今週末に どんと焼きをやります。
とても小さな神社ですが、
正月三が日は、たくさんの近所の人たちで賑わっていて、
お詣りするのに 並んで 待ちました。
こざる達も 元旦の日に初詣に来ました。
りこちゃんも、以前は一緒に来ていましたが、
鳥居をくぐって、本堂までの階段が急で 少し長くて、
高齢者には危ないので、
「ぼくたちが、りこちゃんの分も お詣りするよー」と、
こざる達が、代わりに お詣りしてくれています。
神様も、ちゃんとわかってくれているでしょう。
神社に着くと、こざる達は まず お詣りをして、
正月飾りをお納め所に持って行きます。
今日は 三が日とは違って、人影もまばらで、とても静かです。
風も冷たくて、こざるちゃんは 曇っている空を見上げます。
「昔、元旦の寒い日に来た時に、
りこちゃんが ぼくたちをコートに入れてくれたことがあったよね。」
「うん、みんなでキャーキャー言って、暖かくなって、楽しかったね。」
こざる達は、その時のことを思い出して、
家は すぐ近くなのに 早く帰りたくなります。
「帰ろう。」
「うん、帰ろう。」
その時、雲の切れ目からお日さまが顔を出しました。
風が吹いて、雲が泳ぐように どんどん動いていって、
青空が広がっていきます。
こざる達は、嬉しくなって 歌いながら 家に向かいます。
「夕暮れに 仰ぎみる かがやく青空」
エノケンの『私の青空』です。
「せまいながらも楽しい我が家」
歌いながら、あっという間に こざるカフェに着きます。
「ただいまー。」
扉を開けると、ラジオから、今、歌っていた曲が流れています。
『マイ・ブルー・ヘヴン』、ジーン・オースティンが歌っています。
「わぁ」こざる達は、にっこり嬉しそうです。
外では お日さまも にっこり。
きれいな夕焼けが広がっています。
読んで下さって、どうもありがとうございます。
日射しがあると、暖かいと同時に ほっとします。
よい毎日でありますように (^_^)