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今夜はクリームシチュー

「ちょっと冷えてきた感じだね。」
「うん、朝は晴れてたけど、くもってきちゃったし。」
「風も冷たくて、空気が乾燥してるからかな。」
皆、うんうん頷きます。

気温は上がっているのですが、ちょっと涼しくなってきました。
急に蒸し暑くなったかと思うと、また乾燥して少し寒くなって、体調管理が難しい時期です。

こざる達は、今日もにぎやかにお喋りしながら、夕飯の仕度をしています。

「今夜はクリームシチューなんだ。」
「今のこの外出自粛の生活で、以前よりも自炊する人も増えて、メディアでも料理の情報がまた一段と多くなったよね。」
「在宅勤務で家に居る時間が増えて、今までは作る時間がなかったお菓子や、少し凝った料理をする人達も結構いるみたいだし。」
「急にホットケーキミックスが売り切れたのには驚いたけどね。」
皆、笑いながら頷きます。

「でも、今までは子供達は学校で給食があったから、その分は作る必要がなかったけれど、
今は家に居て、毎日三食作り続けなくちゃならなくて大変っていう お母さん達の悲鳴も聴こえるよ。」
「そうだよね、ただ作ればいいってわけじゃなくて、ちゃんと栄養を考えた献立で、それで同じものにしないようにとか….」
「予算の都合もあるし….」
「それを毎日ずっとだもんね。」
「さっき食べたと思ったら、もう昼ご飯?? そして、すぐに夕飯になるし。」
「お母さんだけじゃないかもしれないけれど、お父さんも作っているかもしれないけれど、とにかく御飯の仕度をし続けるのは大変だ!」
皆、うんうん頷きます。

「僕たちが小さい頃は、りこちゃんが毎日、御飯を作ってくれていて、あの頃は ただ毎日、パクパク食べていたけれど…」
「お腹空いたー、とか、ごはんまだー? とか、そんなことばかり言ってたけど…」
「りこちゃんの作るごはん、どれも美味しかったなぁ。」
皆、思い出して、うんうん頷きます。

りこちゃんは特別に料理上手だったわけではありません。
けれども、他のお母さん達と同じように、毎日毎日、ごはんを作って、作り続けていました。

「りこちゃん、毎日、大変だったよね。」
「もっと、美味しいって、ありがとうって言えばよかったなぁ。」

毎日、栄養を考えて、限られた予算で買い出しして、手間のかかるものを作り続けて、
お母さん達は、本当にすごいと思います。
もちろん、お父さんもいるかもしれませんし、おばあさんや、お兄さん、お姉さん、おじいさん、別の家族の人、家族以外の人もいるかもしれません。

「今夜のメニューのクリームシチューも、りこちゃんは、たくさん野菜いれて、鮭だったり、鶏肉だったり、たんぱく質素材もしっかり入れて、
栄養考えて作ってくれたよね。」
「ハムやベーコンだったり、チーズが入ってることもあったよね。」

りこちゃんが作る物は、何でも具だくさんでした。

「りこちゃんは、もう料理ができないけれど…」
「また りこちゃんの料理、食べたいね!」
皆、うんうん頷きます。

ラジオから、のんびりと長閑な歌が聴こえてきます。

「目一杯 溢れそうな気持ちを使い果たしたら
精一杯 強がっても 一人ぼっちに挫けたら」

山崎まさよしの『お家へ帰ろう』です。

こざる達も一緒に歌います。

「お家へ帰ろう シチューを作ろう
窓から漏れてく白い湯気が
星屑の隙間を埋めてく」

夕飯が出来たようです。

「りこちゃん、呼んでくるね!」
こざるちゃんが歌いながら、りこちゃんの部屋へ向かいます。

「お家へ帰ろう シチューを食べよう
ほんの少しだけ 手間かけて
この想いいつか雪になれ」

「りこちゃーん、夕飯出来たよ! 今夜は具だくさんのクリームシチューだよ! 一緒に食べよう!」


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
食べることは、生きること。食べたものが身になります。お母さんが作ってくれるごはんのおかげで、毎日、元気に過ごせるのだと改めて思います。
よい毎日でありますように(^_^)

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