ちょっとしたきっかけで 世界が広がる

「りこちゃーん、しおりちゃんから お手紙が届いたよー。」
こざるちゃんが、りこちゃんの部屋にやって来ます。
　
　しおりちゃんは、りこちゃんが 昔から知っている女の子です。
知り合った頃は女の子でしたが、
今は 中学生の男の子がいる お母さんです。

「りこちゃん、しおりちゃんが あの菜の花畑を見に行ってきたんだって。」
こざるちゃんは、しおりちゃんの手紙を りこちゃんに見せます。
「まぁ、嬉しいねー。」

　しおりちゃんは、先月、家族で菜の花畑を見に行ってきたよーと
手紙をくれたのです。

　この菜の花畑は、数年前、
りこちゃんが、今よりも もう少し体力があって、
まだ旅行に出かけられた頃に こざる達と 皆で出かけて、
とっても綺麗で良かったところです。

　りこちゃんは、とっても感動して、その話をたくさんの人にしました。
しおりちゃんは、そのことを覚えていて、
それでいつか行きたいとずっと思っていたそうです。

「りこちゃん、ほら、しおりちゃん、写真も送ってくれたよ。」
こざるちゃんは、鮮やかな黄色一面の菜の花畑の写真を
りこちゃんに見せます。
しおりちゃん一家が、菜の花畑の真ん中で、
ニコニコしている写真もあります。

「とってもいいねー。」
りこちゃんもニコニコ、嬉しそうです。
こざるちゃんはニコニコしている りこちゃんを見て、
また嬉しくなります。

　手紙には、りこちゃんから、ここの話を聞かなければ、
そんなに素晴らしいところだと知らずに行かなかったので、
教えてくれて ありがとうと あります。

「ちょっとしたきっかけで、新しい世界が広がるのよ。」
りこちゃんは、よくそう言っていました。
そうなのだと思います。
今は、あまりにも多くの情報があり過ぎて、
それを見るだけで、なんとなく知ったような気になりますが、
そこからこぼれ落ちる情報の方が 多いのです。

　ちょっとしたきっかけで、
縁あって出会った人や、場所、本や映画、もの達。
そこから、また新しい世界が広がるのです。

　こざるちゃんが歌い始めます。
「菜の花畠に　入り日薄れ　見渡す山の端　霞みふかし」
りこちゃんの大好きな『朧月夜』です。

「春風そよふく　空を見れば　夕月かかりて　におい淡し」
りこちゃんも一緒に歌います。
昔覚えて、歌っていた歌は、いくつになっても
いろんなことを忘れても ちゃんと歌えます。

「じゃあ りこちゃん、おやつ持って来るねー」
二人とも ニコニコです。

今日も こざるカフェは ゆっくりゆっくり
穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
今日は4月の気候だったようですが、
今夜はどんどん気温が下がって、明日はまた冬の気候のようです。
皆さま、ご自愛ください。
よい毎日でありますように (^_^)