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十五夜の夜の朗読会

今夜は十五夜、中秋の名月です。

今日も りこちゃんとこざる達は いつものように
楽しくお喋りしながら、 皆で一緒に賑やかに夕飯を食べました。
そして りこちゃんの古いレコードを聴きながら 食後のお茶を飲んでいます。

「今夜は曇っていて、十五夜、見えないねぇ。」
「うまく晴れてくればいいんだけどな。」
「明日の満月は見られそうだよ。」
「今夜の十五夜も、見られればいいんだけどね、りこちゃん。」
「そうだねー、見たいねー。」
皆、うんうん頷きます。

「そうだ!」
こざるちゃんが、何か思いついたようです。

「ちょっと待ってて。」
そう言って、一冊の本を持ってきます。
りこちゃんの古い本、小川未明の作品集です。

「では読みます。」
こざるちゃんはそう言って、朗読を始めます。

「町も、野も、いたるところ、緑の葉につつまれているころでありました。
おだやかな、月のいい晩のことであります。
しずかな町のはずれにおばあさんは住んでいましたが、
おばあさんは、ただひとり、窓の下にすわって、針しごとをしていました。」

りこちゃんの大好きな『月夜とめがね』です。
皆、じっと聴いています。
曇っていて、お月見ができない夜に
ちょうどふさわしい物語です。

「『みんなおやすみ、どれ私もねよう。』と、
おばあさんはいって、家の中へはいって行きました。
 ほんとうに、いい月夜でした。」

こざるちゃんが読み終わりました。
皆、パチパチと拍手をします。
こざるちゃんは嬉しそうに一礼します。

りこちゃんのレコードからは ドビュッシーの『月の光』が流れてきます。
皆、うっとりと聴いています。


こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
明日は、お月さまを拝めるでしょうか?
よい毎日でありますように (^_^)

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