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そのうち必ず青空に

学校は夏休みに入りました。
「なんだか もう初秋みたいだなぁ。」

今日も曇り空で涼しい風が吹いています。
「でも止まない雨はないからね。」
もうすぐ梅雨明けのようです。

こざるカフェは昼下がりです。
時々、営業でこの辺りに来た時に
寄ってくれるお兄さんが
食後のコーヒーを飲んでいます。

「いつも物静かだけれど、今日は違うよね。」
「うん。心の中で泣いている感じだよ。」
皆、うんうん頷きます。

「コーヒーの おかわり、いかがですか。」

こざるちゃんが、お兄さんの元へ行きます。

「ああ、ありがとう。お願いします。」
お兄さんは、少しやつれている感じです。

こざるちゃんは、コーヒーのおかわりと
チーズケーキを持って行きます。

「チーズケーキ、少しですがサービスです。」
「え、あー、どうもありがとう。」

お兄さんは、ちょっと微笑んだように見えました。そして こざるちゃんを見て、
「どうありがとう。美味しそうだ。」
と言いました。

「今日の りこちゃんと ぼく達のおやつ、少しですが お裾分けです。」

「え? いや、そんな、申し訳ないよ。」
お兄さんが、慌てて言います。

「いいんです。りこちゃんと ぼく達からの お兄さんへの応援です。」

お兄さんは、こざるちゃんを じっと見ます。

「落ち込んでいるように見えるよね。
実は 仕事で ちょっとミスしちゃってね。」

こざるちゃんは、うんうん頷きます。

「もちろんミスしたから悪いのは自分なんだけど、それはよくわかっているんだけど、すごく信頼して尊敬していた上司が、手のひらを返したように 物凄く怒ってね。」

上司も一緒に担当していた仕事でしたが、全部、お兄さん一人のせいにして、自分は保身に走ってしまったそうです。

「なんだか別の人のようで、それが
ショックなんだ。」

働いていると いろんな人に出会います。いろんな事が起こります。
いい人もいますが、そうでない人もいます。
いい人だと思っていたら、そうではなかったということもあります。

そうでもないと思っていた人が、実は
とびきりいい人だったということもあります。

ラジオからは、こざる達の大好きな歌が
流れてきます。

「俺がついてるぜ
俺がついてるぜ
辛いことばかりでも
君はくじけちゃだめだよ
思い出せよ ともだちを
君のすぐそばに
いつも俺がいる」

ダイアモンド・ユカイの『君はともだち』です。

こざる達も一緒に歌います。

「俺がついてるぜ
俺がついてるぜ
悩み抱えていても
君は秘密にしちゃだめだよ
あてにしろよ ともだちを
君のすぐそばに
いつも俺がいる   」

お兄さんも、少し笑顔になって
うんうん頷きます。
そして一口チーズケーキを食べます。
「すごく美味しいよ。」
こざるちゃんも嬉しそうに
ニコニコします。

「俺よりも すごいやつは
たくさんいるよね
だけど 俺よりも 君のこと
気にかけるやつはいないよ
時が流れても
変わらないもの
それは俺たちのきずな
君はともだち
いつも俺がいる
君のそばに」

こざるカフェは、今日も ゆっくりゆっくり
のんびり 穏やかに時間が流れていきます。

読んで下さって、どうもありがとうございます。
私も この歌のようでありたいと思います。
よい毎日でありますように(^_^)

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