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競争が社員の成績を向上させる!?
もし社員の生産性や勤務成績を順位付けし、それが通知されるとしたら、あなたはどう感じるでしょう。高い成績なら自分を誇らしく感じるかもしれませんが、低い順位であればバツが悪くなり、自尊心を傷つけられたと感じることでしょう。
そんな競争を煽るようなやり方は、マネジメントとしてあまり好ましくないと思うかもしれませんが、必ずしもそうではないのようです。
自分の成績順位を知る
ハーバード大学教授のフランチェスカ・ジーノらは、新生銀行子会社のアプラスにおいて、成績の順位をフィードバックすることでスタッフの働きぶりがどのように変わるか実験を行いました。
対象となったアプラスのスタッフの仕事は、ローン申請書のデータ入力など比較的定型的な繰り返し作業であり、これまで自分たちの成績がフィードバックされたことはありませんでした。もちろん生産性により賃金が左右されるような経験もありませんでした。
そこで、成績下位の社員に対して「あなたの成績は24人中下位10人以内です」という情報を与えたのです。つまり彼らは初めて、自分の会社での相対的な順位を教えられたということです。
社会的比較が成績を向上させる
結果はどうなったでしょう?なんと情報をなにも与えられなかった別のスタッフと比較して、その後の成績が14%も向上したのです。これは「社会的比較」といい、人は他人と比較することで自分の能力や技能を正確に判断しようとする傾向のことをいいます。
そこで同僚と比較して自分が劣っていると認識し、その傷ついた自尊心を回復させようと努力したことが、結果的に成績向上に寄与したと考えられます。自分より優れた同僚を認識したことで「上向きの社会的比較」が行われ、同僚に追い付こうといっそう真剣に取り組んだということです。
社会的比較はもろ刃の剣
「社会的比較」は人々に強力な影響を与えますが、過度に強調すると、社員同士お互いが助け合ったり、有益な情報を共有したりといった協力関係が損なわれるなど、負の効果も研究から確認されています。
定型的な仕事を一人でこなすよう仕事ならその影響は少ないかもしれませんが、相互に協力し合うような仕事では、同僚間の協力関係を損なってしまうため、チームとしての全体のパフォーマンスが低下してしまいます。そのためその使い方に慎重であるべきだともいえます。