ドラマ「アフリカの夜」。脚本は大石静さん。
以前、ドラマ「あのときキスしておけば」の取材で、「いいラブストーリーのポイントは何でしょうか?」と聞かれてこう答えていた。
「アフリカの夜」の礼太郎も、まさに徹底的に女性を守り抜く男。
第8話 『おかずの丸ちゃん』が銀行の手に渡ると聞いた礼太郎が、みづほを部屋に呼ぶ。
みづほは逃亡前、礼太郎に『おかずの丸ちゃん』を残せる方法がないか聞きに行っている。その時の礼太郎は、「銀行はまず負けないよ」と言っていたのだが。
「そんな夜の路地裏にさ、おしっこしたいんだよ、俺……」
名セリフ。
「おしっこ」の話、このドラマでは頻繁に出て来る。礼太郎は酔っ払うと、どこかしこにおしっこしちゃうのだ。カッコイイ男でありながら、子どもっぽいギャップがたまらん!
第8話にはもう一つ名セリフがある。
緑と有香が、高級蕎麦屋の個室で食べている。
盛り蕎麦の上にピンクや黄色の食用菊が飾ってある。本来の蕎麦のおいしさと関係無いどころか、蕎麦の良さを消してしまうような無駄な物。その飾りは緑の生まれた世界を象徴している。それを、ピシッと
「これが山の頂上なら、アタシは興味ないな」
という言う有香。かっこいい。
この話は、フランス料理のその後談である。
フランス料理の後、緑が有香に言う。
この時の悔しさが、「これが山の頂上なら、アタシは興味ないな」という一言で解消される。
礼太郎の「そんな夜の路地裏にさ、おしっこしたいんだよ、俺……」も、有香の「これが山の頂上なら、アタシは興味ないな」も、人物像から滲み出るセリフ。そして、どちらも隠喩。「君の瞳に乾杯」なんてのも隠喩だな。名セリフの一条件だな。