大石静さん脚本ドラマ「アフリカの夜」。23年間私を励ましてくれるドラマだ。仕事を辞めて時間に余裕ができたので、文字起こしをしている。
八重子がメゾン・アフリカに引っ越してすぐの有香とのやりとり。
一人でも朝食をキチッと作る八重子、自分の気持ちに素直な有香。ひとり暮らしをする人がどんな朝食を食べるかでキャラクターが表れる。
最後のセリフの松雪泰子さんの言い方がとっても好き。
「アフリカの夜」のキーマン、丸山みづほ。八重子が逃げ隠れている姿を見て、言ったセリフだ。私も学校で働いていた時、みづほの言葉言葉に励まされた。人は、やりとりの中で、力をもらうんだと思う。「自信持って!」だけ言われても、言葉が空しく通り過ぎる。
この場面も、ドラマの核となる「道は開かれている」に通じている。このドラマは一点に向かって盛り上がりぶれない。
そして、ただ励ますだけではなく、そこに「元スッチー」のいじりを入れてくるのが本当のやりとりっぽいし、説得力を増している。場面の最後のオチは「アテンションプリーズ!」。スッチーの話にも通じる終り方だ。
好きになった理由を語るときは、個人的なシチュエーションがいい。サッカーで髪なびかせて走ってるとか、いかにもな場面は何も引っかからない。ガード下の焼き鳥屋、もくもくした煙、しばしば目をさせてる、とてもいい。2022年でこそ、メジャーな感覚かもしれないけど、23年前なのが驚いてしまう。
さっきの続きの場面。礼太郎の言葉を思い出した八重子が「人間にはそうでなくてはならないことなんて、何もないんじゃないんですか?」と切り返して、「人は道を選ぶことができるんです」と主題まで一直線に畳みかける。
八重子が、朝、有香に言われた朝食のことを、夜またほじくり返しているのが、いい。何話かで、礼太郎からも、「根に持つタイプ」と指摘されているのがうなずける。
三話の冒頭の緑の妄想も好き。緑のステキさは、また別の話