ドラマ「アフリカの夜」。好きな場面を書いても書いても、まだ浮かぶ。噛めば噛むほど味が出るスルメドラマ。
このドラマの基軸は、「道は開かれている」。八重子が、火野史郎と対峙し、過去の自分と決別する場面が第7話の冒頭だ。昨日の火野史郎の狂気マックスのシーンの続きになる。
八重子に復縁を迫るために、講義中の塾に乗り込んだ史郎。八重子は、子どもたちを教室から逃がすために、史郎に迎合するフリをする。
教室にいるのは、八重子、史郎、八重子のことが好きな中学生本間だけ。
緊迫した場面なのに、である。
なぜか、有香が教室に入ってくる。有香は、逃亡中のみづほから電話が掛って来たことを伝えるために、たまたま塾に来ていたのだ。
ここで、緊張が一瞬ほどける。水羊羹のCMの気楽な音楽と、シリアスとの対比。「アフリカの夜」は、緊張と弛緩がワンシーンの中に混在している。一つのシーンを、同じトーンにしない。
命の危険を感じても、「道は開かれている」ことを訴える八重子。この強さをくれたのは、メゾン・アフリカの住人との出会いだった。1話から6話までの全てのことが、ここに繋がり、ここで実を結ぶ。八重子が、過去の自分と決別した瞬間なのだ。
最近、気付いた。人が生まれ変わる瞬間が描かれるドラマや本に、私は惹かれる。生まれ変わることを応援する物語に、私は惹かれる。「アフリカの夜」を観た大学二年生から、就職、出産、育児、退職、人生の岐路で心の支えになったドラマだ。
感謝しかない。