「アフリカの夜」⑱礼太郎が兄だったら
ドラマ「アフリカの夜」。佐藤浩市さん演じる礼太郎はカッコイイ。金持ちの実家から家出して、大企業からもらうお金で商店街の小さな店を助ける。女に「道は開かれている」と本気で思わせる。そんなお兄ちゃんだったら、緑じゃなくても好きになる。
礼太郎と緑のやりとりで好きなのは、第7話。八重子の部屋から帰ってきた礼太郎に緑が詰め寄るシーンだ。
緑は、アフリカの市原悦子なのだ。
その後、八重子が部屋で一人パスタを食べるシーンを挟んで、また礼太郎の部屋に場面が戻る。柱を背に、緑と礼太郎が背中合わせで立って話している。大人な雰囲気。
緑の叶わぬ思い。一番近くにいるのに、絶対に結ばれない兄と妹。そんな緑の切ない気持ちが伝わってくる。
この時のともさかりえさんの表情が好き。始めはいつも通り、何考えてるか分からないような笑顔だが、一回目の「手が出なかった」辺りから曇ってくる。そして、言葉もギリギリ聞き取れるくらいの速さに。緑の思いが伝わってくる。
礼太郎が、緑の髪をクシャクシャにする。礼太郎にとっては、どこまでいっても妹なんだ。緑の気持ちになって、切なくなる。
繊細で、何でも分かっちゃう緑。人のこと、いちいち監視して、でもそれを天真爛漫で楽しんでやって、かわいい。