ボタン、接着剤、ちりめんじゃこ……この三つを見てピンとくる人、そんな人がもしいたら、友達になりたい!
これらは、大石静「アフリカの夜」の小道具。
ちりめんじゃこの話は、②でも紹介した。八重子と礼太郎のつながりを象徴する。
ちなみに、六話でも、また登場する。
「時空を越えた思い」こういうキザな言い方が似合う礼太郎がかっこいい。でも、ここはちょっとギャグで終わるのね。
接着剤、これは緑の天真爛漫具合の象徴か!?
緑のかわいさについては、↓
緑は、接着剤をいろいろな所に付ける。
これ、緑の仕業。玄関を接着剤で付けるという、なんと破天荒な!小学生男子かっ!
このことが原因で
①有香の部屋の水漏れは修理の人が来てくれたのに、玄関から入られなくって直してもらえない。
②玄関から出られない有香は、梯子を使って下の階の八重子の部屋から出ざるを得ない。そこで、八重子のきっちりした朝食を目にする。
接着剤は、緑らしいイタズラをする小道具であり、その小道具を使うことによって、八重子と有香が関わり合わずにいられない状況になった。
小道具が、ストーリーを推進する!
緑は、その後も、礼太郎の秘書の靴を玄関に付けたりと、接着剤が気に入ったご様子。しかし、緑には、緑なりの哲学がある。
こういうことを言ってのけるのが、緑のかっこよさ。さすが、礼太郎の妹。
そして、ここからが本題!(前置きが長ッッ!)
ボタン、である。八重子と礼太郎を時空を越えて繋いでいるのがちりめんじゃこならば、みづほと良吉を繋いだのがボタン。
初登場は、第五話。銀行が丸ちゃんを処分すると言いに来た日。
これだけでも切ない。銀行員に殴りかかって、この場面だから。だけど、それだけでなく、みづほがメゾン・アフリカを出て、逃亡する間、何度も回想される。
二度目は、逃亡してすぐ、定食屋で。
この時、みづほは、思い出せない。しかし、見ている人は、分かる。
次、逃亡初日のビジネスホテルで
そして四度目。スナック『黎』で数日働いた後。
ただ思い出すだけじゃない。思い出して、居ても立っていられなくなって、『黎』を去ったのと入れ替わりで、警察がやってくる。ここ、何度見てもどきっとする。
もし、ボタンを思い出さなければ、思い出しても良吉と強く繫がっていなければ、この瞬間に逮捕されている。残された箒とちりとりも、みづほの残り香が感じられて、一興。
結論
小道具も、起承転結。
おまけ ボタンの謎=見えそうで見えない、じらされて惹きつけられる。最後はスッキリ!大石マジック