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晩秋の伊香保へ

11月中旬、晩秋の伊香保温泉へ。幸いにもお天気に恵まれ、移りゆく景色を眺めながら旅気分に浸った5時間のドライブ。
旅の途中一瞬雨が降ったが、そのおかげでバックミラーには大きな虹が。
この旅を歓迎されているようで、幸先のいい旅の始まりとなった。

山間を潜り抜け、宮城県とは異なる山の稜線の鋭角さに感嘆しながら、目的地に到着する前からすでに旅気分である。

予定より二時間ほど遅れて遅めの昼食。群馬県に来たのならばと選んだのは、日本三大うどんの一つでもある「水沢うどん」。群馬行きが決まってからの数週間、ネットやユーチューブを毎日のように眺め、何を食べようかなぁと幸せな思案に暮れていた。

結果、群馬旅第一食目は「水沢うどん 大沢屋」のざるうどんである。何店舗もある人気老舗店で、うどん店とは思えない店舗の広さのおかげですんなり入れた。おやつの時間にもかかわらず、店内は多くの観光客で賑わっていた。

ここで食べるのは「ざるうどん楓」。ざるうどんに大きな舞茸の天ぷらが2ヶついてくる。せっかくだからと特製ゴマだれも追加で注文した。
ほどなくして料理がやってきた。三角のざるの上に細めの艶々としたうどん、大きな舞茸の天ぷらとオクラの天ぷら。薬味はネギにすりごま、わさびに生姜。舞茸の天ぷらは扇子くらい大きいのではないかというくらい立派。周りを見渡せば大半の人が天ぷら付きのうどんを注文していた。
うどんは細いけれど程よいコシがあり満足感があった。はじめて食すゴマだれうどん。食べる前は甘めの味を想像していたのだけれど、実際に食べてみてびっくり。カツオの出汁がしっかり効いていて、甘さ控えめ。生姜の爽やかさも相まってすごく好みの味。気づくと飲み干していた。
食べたかったもの一つクリア。

続いて伊香保温泉 石段街方面へ向かいお宿へチェックイン。夕食まで時間があったので、石段街を散策してみることに。夕方に到着したので、店じまいしているお店も多く、お目当てのプリンは残念ながら食べることができなかった。それでも小さな電球で照らされるノスタルジックな石段街に惚れ惚れしながら石段を下っていく。

途中、「やまのは」という素敵な雑貨屋さんを見つけ入ってみることに。旅行に出かけた際、思い出の品を一つ買うことにしている。
うん。ここのお店良さそう!
真っ白な壁に、黒い手すり。木製の踏み面を登っていくと、メガネを掛けたやさしそうなお洒落店員さんが出迎えてくれた。群馬の特産や工芸品を集めたセンスのいい店内。一つ一つにこだわりを感じる。
「よかったらベランダにも出られるので。まだ紅葉がギリギリ綺麗かも。」
え、紅葉?
終わりかけかと思っていたから心が躍る。地面からライトアップされていて今日イチ綺麗な紅葉ロケーションだった。
そういえば、店内に入ってくる時、階段のニッチ部分に小さなだるまが飾ってあった。白と鮮やかなブルーの小さなだるま。群馬に来るまで、「高崎だるま」の存在を知らなかった。食べ物ばかりに気を取られていた自分が恥ずかしい。
店内にも売られていたので手にとってみると、手仕事だろうから当たり前なのだけど、全部表情に個性があって愛らしい。最近のだるまはおしゃれでカラフルである。ピンクにブルー、色とりどりで若い人も手に取りやすい。
うん。思い出の品はこれにしよう。私は自宅を思い浮かべ、部屋に置いても浮かずに馴染みそうな白と薄いグレーを選んだ。
どうしても食べたかった湯の花饅頭は明日の楽しみに取っておこう。
お目当ての食べ歩きはお店が閉まっていて実現しなかったけれど見て回るだけでも楽しく、IKAHOのオブジェ前で記念撮影をして満足する。初日はお宿で夕食をとり、空いている時間を選んで大浴場でのびのびと温泉を堪能し就寝した。

二日目の朝、早起きしてお部屋に付いていた内風呂でゆっくり温泉を堪能する。窓を開けて半露天風呂。ピンとした清々しい空気が鼻を通り抜けていい気分である。
朝ごはんをお宿でいただき、その足で「河鹿橋」まで散歩に出かけた。11月中旬の伊香保はしっかり寒い。薄手のダウンとストールをぐるぐる巻きで外に出た。
お宿から歩くこと5分。晩秋と冬の始まりの間のような様相の小道をいくと見えてくるのが「河鹿橋」。冬支度が始まった森の中でも鮮やかな紅い橋を眺めていると、まるで紅葉を形容しているようだった。何枚か記念撮影をして満足する。

そして念願の「勝月堂」で湯の花饅頭である。朝9時過ぎでもすでに多くの観光客で賑わっていた。私たちもお饅頭をゲットし、店先のベンチに腰掛けて熱々の湯の花饅頭をいただく。初めての食感である。想像していたより皮が薄くて柔らかい。一口かじるとまるで蒸したてのあんこを食べているよう。それくらい皮が薄いのだが、しっかり皮の存在感もあってすごく美味しい。
「今まで食べたお饅頭の中で一番好きかも!」
うっとりしつつ、温かさに癒され最後の一口を食べ終えた。優しい甘い余韻が口の中に残ってまさに口福。
朝の澄んだ空気の中でたべる熱々の湯の花饅頭。日頃のモヤモヤが占めていた心の中が、どんどん解けていく。普段の生活からワープした気分。

さぁ、そこから長野県は軽井沢へ。また新しい旅の始まりである。


(後半に続く)

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