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街頭テレビとパーソナルメディア <NHK技研公開2019>
毎年この時期に「NHK放送技術研究所」が公開されます。今年は5月30日から6月2日の4日間の開催でした。正式名称は「NHK技研公開2019」といいます。
数年前までは、4K8K放送に向けた技術展示が中心で大きなテレビなのに画像が高精細という展示が多かったように思います。近づいて見たりしていました。
大きなテレビでは、一人で見ることもありますが、やはり家族や仲間と大勢で見るというのが普通だと思います。
大勢で見るテレビといえば、街頭テレビから始まり、多くのクラスメートが同じ番組を見ていることで起きる一体感などを生んできました。
最近では、映画館でコンサートのビデオを見て仲間と一緒に盛り上がるイベントがおこなわれていたりして、8K技術などは正にその方向にありました。
AR、視点追従3D
ところが今年の技研公開では、一気に「テレビのパーソナル化」に舵をきったように感じました。
これまでも、ネット配信やスマホで見るような視聴の多様化はありましたが、基本的には多くの人が同じ番組を見ることに主眼を置いたものでした。
今回展示されていたAR技術や視点追従型のインテグラル3D技術は、見る人によってそれぞれ視聴体験が異なることを特徴とするものです。
それぞれのSNSが全く違う世界を持っているように、これからのテレビ放送は同じデータを視聴していながら、受け取る情報や感情は全く別のものになる訳です。
放送とは何なのか
このように放送の視聴体験が異なるようになってしまうと「放送とは何か」ということが気になります。
これまでのテレビは、テレビカメラという空間的な視点と、小さなテレビという限定された視野によってかなり固定した共通の疑似体験を視聴者に提供してきたが、自由な空間視点やどの方向でも見られる視野によって、それが無くなろうとしています。
放送と通信は、同じデータを受け取る人数の違いによって伝送技術を規定してきましたが、その垣根が無くなり、何が地域(国)のコミュニティを形成していくのか、その役割を何が受け持つのか、という課題が新たに突き付けられているのだと感じました。