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〈新企画〉ねぇねぇ連詩、やってみない!?④【ゆかこ】



さくっとした思いつきで始まった連詩はしっかりと実を結び、形にすることができました。それぞれのカラーを出しつつ、淡いところが交わってとても良い。自画自賛。

三人の創作は下記参照↓


この一首から広がる世界。


●では、以下感想戦です | ‹:)~❁

ゆかこ︰ではまず私の短歌の解説から。
この短歌はねぇ、私が短歌を始めた頃に作ったものをリメイクしたものだったの。元の短歌は思い入れがあったけど稚拙さが目立ってしまっていて、直したいなと思っていたものでした。
この短歌は、自分と他者がいて、対比的な歌にしたかった。私の周りには真面目で思慮深い人が多くて、それに比べて私は何も持っていないけれど、相手に何か投じられるものがあればいいなという希望を持って詠んだもの。あとは私たちみんな眼鏡かけてるし、合ってるかなって(笑)

ともや︰相手から眼鏡と生真面目さを引いて、発見を足したら私ってことだよね?

ゆかこ︰そう。友達とか恋人って似通ってる部分ってもちろんあって、趣味や考え方が似ている人が多い。でもその中でも「私とあなたのここが違う」っていうところが必ずある。そういうところを足したり引いたり、貸したり借りたり…みたいなことをしながら関係性を築いていきたいなって思って詠みました。

ともや︰最初は相手に発見を足してあげるのかなって思ってたけど、個人的に最終的にはあなたからもらったものを足したら私になるみたいな感じの関係性のことを言っていたのかなーと読みました。翔さんはどう?

しょう︰私二人と真逆なのかな。日々真面目にバリバリ働いている私もいる反面、ズボラだったり失敗する自分もいるよね。それを鏡に映ってる自分に向かって、でもあなたはあなただよね、それを忘れないでねって言ってあげられるといいよねと思ったの。

ともや︰その解釈もいいよね。それがあの小説に繋がっていくわけだね。じゃあしょうさんの小説の話題に移ろうか?


●では、しょうさんの小説から | ‹:)~❁


しょう︰仕事はバリバリできるけど、一旦家に帰ったら眼鏡外して縛ってた髪をほどいて、化粧を落として「あぁ、これが本当の私!」みたいなギャップを書きたいなと思ってた。眼鏡に短歌をかけただけじゃ面白くないから、キャリアウーマンとして、母として、パートナーとして、様々な自分がいるけれどそれをひっくるめて自分。いわゆる分人みたいな考えかな。
「発見足してあげたら私」っていうのは、ちゃんとあなたにはあなたを認めてくれる人がいて、自分が自分らしくいられる場所っていう風にしたかった。だからタイトルも「居場所」っていうタイトルいいなと思ってつけたのね。
登場人物の名前を二人にどういうのがいいって相談したじゃない?二人から出された名前候補がすんごいのきたよね(笑)全部ごつすぎて誰一人採用しなかったけど(笑)

ともや︰ゆかちゃんは小説読んで、自分の短歌も含めてどうだった?

ゆかこ︰私はどちらかというと一対一に近い短歌かなと思ってたんだけど、もう一人子どもも足されてたから面白かった!五十嵐さんの娘がむすびちゃんとだと思ったけど中田さんの娘だったのにもびっくり。むすびちゃんの名前は私の名前からとってくれたよね?

しょう︰そうそう!せっかくだからそうしたかったの。

ゆかこ︰男女の恋愛と捉えられてもおかしくない短歌かなって思ってたけど、それがシスターフッドにつながったのが面白かったね。

しょう︰家族で食卓を囲むシーンは自分でもお気に入り!むすびが「友達ぶん殴ってやったわ〜」っていうシーンで、二人でむすびを育てているから中田さんが血が繋がっていない五十嵐さんに対して「あんたの子だね」というのは、すごく温かい世界観だと思って。自分で書いてて「ヨシっ!」って感じで!

ともや︰翔さんが読み解いたとおりの世界観が出てたよね。

しょう︰それぞれがいなければ発見しえなかった自分があって、それぞれの相互関係ができて家族が形成されてる。真面目一本もいいけど、そういう存在がいるから真面目になれるっていうのもあるっていうこと。ちなみにゆかこさんが好きなものが店名になってるよ! 

ゆかこ︰花もガーデンもコーヒーも好き!




●続いてともやくんの詩へ | ‹:)~❁

ともや︰そしたら次俺のいこうかな。先に解釈言ってくれへん?どんな風にとったか…

しょう︰この詩面白いよね~。この二人には関連性はある?

ともや︰そこは解釈次第だけど?短歌を受けてばーっと書いてるから…詩って解釈のしようがたくさんあると思うから先にこう思ったっていうのを聞きたいなーと思って。

しょう︰私には登場人物が3人に見えてきたのよ。田中と佐々木以外にもう一人。名前が出てない見えない3人目がいる感じ。3人で喋ってる感じかなぁ。

ゆかこ︰真ん中の人が佐々木や田中を見ながら話をしていると…。3人目は3人目って思うけど、佐々木と田中はそこにいなくて、自分だけで語ってる印象だなー。内面対話みたいな。

しょう︰内省してるってこと?

ゆか︰いや、佐々木も田中も実在はしていて、でも今は離れているというか…思い出して喋っているような感じ。みんな学生ならチャイム鳴ったらみんなで戻ればいいのに自分だけ行くというところが、一人でいるっていうのを感じさせたかな。

ともや︰なるほど、面白いね。

しょう︰私は「じゃあ俺は先行くわ~またあとでな~」みたいに感じたけど、そういう解釈もできるね。

ゆかこ︰イマジナリーじゃないと思う。実在はしてる存在。仲は良くてそれなりの親密度はありそう。…もしかして死んでる?死んだり離れたりした友達に自分の中で対話するときない?

しょう︰墓前なの?!仏壇の前で喋ってるみたいな感じ?

ゆかこ︰屋上!屋上のイメージ。

ともや︰一応ね、ゆかちゃんの短歌には連想して作ってるんだけど、そのへんは何かある?どこに要素あんねんって感じ(笑)?

ゆかこ︰「面白いと思ったことなんてこれっぽっちもないのに」の部分が生真面目さ?生真面目で笑うことは少ないけど、僕たちは友達、みたいな。カルピスの濃淡はちょっと分かんないけど…

ともや︰そこにはそんなに意味はないよ(笑)

ゆかこ︰田中と僕の悲しみエピソードにはだいぶギャップがあるよね。田中は顔に出るから分かりやすいけど、僕はそんなに表情が変わらない。僕も飼い犬が死んだっていう大きな悲しみに気付いて聞いてほしかったっていう思いがありそう。

しょう︰やっぱり田中この世におらん説ない?

ゆかこ︰田中死んでたら佐々木も死んでるよ、これ。

しょう︰文脈的に田中だけ殺したらいけんのか~。でも田中死んでる説にすると、「なんやかんや性格は違うけどお前がいないとさびしい」って気持ちで、死んだあの日から作り笑いしかできなくって…って感じ。雨上がりの屋上でフェンスに寄りかかってる感じ。ドラマっぽい感じ。

ゆかこ︰二人死ぬのはちょっとね…。佐々木の話では面白くないのに笑うんだよね?佐々木はいつも楽しそうに話してて、面白くないけどそれを見て僕も笑ってる。「本当に笑っていると思うかい?」にサイコパスみを感じるんだけど…。逆に田中は悲しいことがあって僕も悲しいことがあったから一緒に悲しい顔をしている。鏡合わせみたいな。それが友達じゃなかろうかと…。

しょう︰何を発見したかだよねー

ともや︰ヒントは、今のこの行為自体が発見みたいなところがある!全部この詩の中にゆかちゃんの短歌のすべてがこもってるよ!

しょう︰ねぇ、やっぱり二人死んでない?

ゆかこ︰三重人格は?僕の中に佐々木と田中が人格として存在してる説は?
もう一個ヒント!キーワードとか!

ともや︰みんな結構着目してくれてるけど、「僕はね」っていうワードはかなりポイントかな。

さて回答するね!まずは「二人が探ろうとしたこの行為自体が詩の主人公にとっては幸せなこと」。ゆかちゃんの短歌を俺は男女って捉えた。お互いを足したり引いたりしていってnearlyになっていくというか、私にあなたを足していったらより私になっていくという解釈をした。
そのまま詩にしても面白くないから、この詩は「ゆかちゃんの短歌の相手」だと思って書いてます。面白くないところで笑ったり、悲しくないのに悲しい顔をしたりする生真面目さを実は自分は抱えてて、自分の思いは言えずにいる。「この人は今何を考えているんだろう」と考えてもらうことが発見、と解いています。

しょう︰発見はゴールだからそれに向けての探求?

ともや︰相手に合わせて取り繕ってる人は自分の話はできていない。それではその人のことを見て探ってくれる人なんていないと思ってしまう。でも誰か見ている人はちゃんといるよっていうこと。だからゆかちゃんの短歌がアンサーになる詩。短歌の相手側の主観の詩。

しょう︰ともやさん詩人なの?!

ともや︰アンサーにしながらも自由度を持たせた方がいいかなって思って、サイコパスっぽさもあったりとか…。友人との対比は描いたと思う。死んでる設定は思いついてなかったけど(笑)二人の解釈聞いてて面白かった!

ゆかこ︰詩だから短いけど、こんなに含みを持たせた文章というか…

ともや︰実は最後は結構削ってて。二人の話を聞いてて、この詩の正体を探ろうとしてくれていること自体が誰かを知ろうとすることなんだなって思った。その行為が短歌の「発見」につながってるよって。

ゆかこ︰逆回転できたね〜

しょう︰私の小説は思いっきりこれが答えですって感じだったけど。

ともや︰でも3人登場したり、シスターフッドっていうところは思いつかなかったから!

ゆかこ︰面白いね。時計回りと反時計回りみたいな感じで。




●さてさて、まとめ | ‹:)~❁

しょう︰じゃあ感想戦のまとめとして、スタートラインの短歌を投下したゆかこさん、二人の創作も含めてどうだった?

ゆかこ︰短歌を作るときには、実生活に根ざしたものとファンタジックなものもあるけれど、今回の短歌は実生活に根さしている方の短歌で、身近な人との関わりからいろいろなものを交換しながら循環していくことがいいんじゃないかなって思ってきました。その中でも特定の大切な人との関わりも大事で、マンツーマンでコミュニケーションをしっかりとれる関係がいいなと思っています。

しょうさんの小説は男女間じゃなくてシスターフッドになっていて、読んでいる限りでは二人は恋愛関係ではなさそうだった。女性二人、そこに一人子どもがいて家族の形をとっている。信頼関係の中で家族という形を保てている。
ともやくんの詩にはしてやられた感じ。アンサーを求めていたのに私がアンサーになってた。でもそれも循環であって、新しい巡りに気がつかせてくれました。
二人の想像力の豊かさで、私が考えていた「個人対個人」「あなたと私」がよく描かれていたと思います。そこが根本だと思っていたので、そこを二人が自然に汲み取ってくれて派生していったことがとても嬉しかったです。

ともや︰自分が作ったものの解釈を生で聞けることってめったにないもんね。

ゆかこ︰基本的には短歌の背景を語ることってほとんどなくて、そういうところを言語化できたことと、二人に拾ってもらってね、語ることはないけど背景って確かに存在しているものだから、そこについて話せてよかった。

ともや︰第一回連詩、とってもよかったんじゃない?



●ゆかこ独り言 | ‹:)~❁

はぁ〜とっても楽しかったです。
最初二人の小説、詩を読んだときには、どことどこが繫がるの?って思っていたけど、ぐるぐる回って最後はちゃんと丸になっていきました。

短歌を詠むときには自分の中にある言葉を使うしかなくて、そんなときに私は孤独を感じます。でもそれを言葉に出して語るとき、それは途端に孤独ではなくなることも知っています。そういう瞬間を求めて私は短歌を通した対話を日々楽しんでいるんだろうなと思います。 

では、最後にもうひとつ、私からのアンサー。


では、今宵はここまでに

ゆかこ𓅯

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