高野山のごまとうふ
弘法大師空海が開いた高野山は長く真言密教の修行の地として受け継がれ、標高約1000メートル、周囲を高い山々に囲まれた東西5キロ、南北3キロの盆地型山上都市。一時は数千を超える寺院があったといわれ、全国各地から多くの修行僧が訪れていました。
ー精進料理ー
僧侶が修行中に食べる食事は精進料理といわれ、肉や魚となどの殺生をさけた料理が主で作ることもまた修行であるといわれています。そこには召し上がっていただく先様のことを考え、どのようにすれば見た目に美しく、どのようにすれば美味しくなるのか?どうすれば先様の体に良いものになるのか?そんな想いを込めて考え・作り・表現してきたからだと思います。
ーたんぱく質ー
しかしながら精進料理には圧倒的に足りないものがあります。
野菜中心になりがちで肉や魚を食べないために動物性のたんぱく質が摂取できません。人間の体を作る上で必要な5つの栄養素(炭水化物・たんぱく質・脂質・ミネラル・ビタミン)の中でたんぱく質が少ないのです。
そこで豆腐に代表されるような大豆や胡麻からたんぱく質を摂るようになりました。
ー胡麻ー
近年、胡麻は科学技術の発達によりその栄養価の高さが見直されています。特に多くみられるのがたんぱく質と脂質。ただその脂は不飽和脂肪酸のため悪玉コレステロールの低下や動脈硬化の予防が期待されます。
紀元前4000年以前のエジプトのピラミッドからも見つかったという胡麻。
現存する中国最古の薬物書「神農本草経」には不老長寿の秘薬と書かれているそうです。日本には奈良時代、仏教とともに伝わり、精進料理の材料として使われるようになったのだと思います。
ーより多くの胡麻の栄養を摂取できるようにー
さて、胡麻が体に良いということは昔の人は科学がなくてもわかっていたのだと思いますが、ではどうやって効果的により多くの胡麻を摂取するのか?例えば胡麻をスプーンに山盛りに胡麻をすくって口に運んだとして、、、
たぶん口の中が〝パサパサ”になると思います。そしてそんなに多くの胡麻は食べられない。また胡麻には外皮があって胃の中で消化されずに出るときもあります。そこでこの「ごまとうふ」が誕生しました!
(その製法などについてはまた後日アップします)
ー厳しい修行に耐える僧侶を健康面で支えるー
大豆・胡麻・ごまとうふを作る時に使う吉野葛。昔の修行僧の皆さんはこれらの材料からしっかりと栄養を摂ることで、マイナス10度になることもある高野山の冬を超え、昼夜に及ぶ読経、大変な修行に打ち勝ってきたのだと思います。
お大師様(弘法大師空海)は今も生きた身のまま禅定に入られておりますので、毎日お大師様に食事を運びます。(生身供については後日)
そのお食事の中にはもちろんごまとうふが入っておりまして、もしかしたら舌鼓を打っておられるのかもしれませんね!
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