トリセツ

今日は朝から雨が降っている。
デイサービスはお休み、午後から病院の検査がある日。

母はずっと日記を読んでいる。
アウターを着込んで、カバンを持った母は
「とりあえず帰りますね」
と言い出す。

今日はおセンチな日だ。

「お兄ちゃん達が帰ってくるから家で待ってなくちゃ」
と言い出す。
8月10日の日記に記された内容だ。

「お母さん、今日は何日？カレンダー見てみて。」
と母の部屋のデジタルカレンダーを確認させる。

母「10月9日っだって」
私「お兄ちゃんが来るのはいつだっけ？」
母「８月10日」
私「って事はもう来て帰ったって事だよね。」
母「あ、そうね。今は10月か…」
と一旦は納得するが5分もしないうちに
また同じことの繰り返し。

認知症あるあるだ。

こうなったら違う事に意識を向けなくては
お兄ちゃん来る→家に帰る
のスパイラルからは抜けられない。

めんどくさいので黙っていたが、
私「今日はお昼ご飯食べたら病院だから、
家に帰っちゃダメな日だよ。」
母「えっ病院行くの？何処の？」

って感じで、違う気になる事を見つけると
意識がそっちに向かい、家に帰る事を忘れる。
らしい…

母に病院へ行く事を言ってしまったので、
それはそれで大変である。

お昼を食べて、出発までの時間
財布がない、保険証がない、
など引き出しを開けたり閉めたり、
着替えてみたり、うろうろして落ち着かない。

もともとせっかちで、15分前行動(いや30分)の人だから、前もって予定を言うとそわそわ落ち着かなくなってしまう事がわかった。

介護生活3ヶ月。
母のトリセツがだいぶ出来てきた。

日々変わり
項目が増え続けるトリセツ。

完成する事は無さそうだ。