なぜだか、知らない「あいつ」を観てしまう。-「あいつ今何してる?」

テレビ朝日系列で放送されている「あいつ今何してる?」がおもしろい。ゲストである芸能人の、学生時代の同級生が「今、何をしているのか」を追ったバラエティだ。番組冒頭で、ゲストの芸能人が卒業アルバムを見ながら、印象に残っている人を挙げ、その人にせまっていく。

芸能人の同級生がテレビに出ることは少なくない。たいてい、「学生時代からファンクラブができていて…」とか「実は根暗なやつで…」とか視聴者が知らないその芸能人の一面を語るために出演している。

ところが、この番組はそうではない。主役は同級生の「あいつ」だ。芸能人が「あいつ」について語り、「あいつ」の半生を振り返る。「あいつ」は、ものすごくとがったおもしろい人でも、とびきり美人なわけでもない。もちろん、素人っぽさを笑おうとする雰囲気もない。あえて言えば、どこにでもいそうな普通のおじさん、おばさんである。

それなのになぜ、この番組をおもしろく感じるのか考えてみた。

この番組にはふたつの視点がある。ひとつはゲストの芸能人の視点で、もうひとつは「あいつ」の視点だ。
芸能人の視点は、同級会で久しぶりに同級生に会うときの好奇心につながる。卒業アルバムと現在の対比の部分がそれだ。
一方で、「あいつ」の視点は、スターとなった同級生の裏で一般人として生きるという物語につながる。ある時点までは現在のスターよりも輝いていたかもしれないのに、人生のさまざまな選択のなかで普通の人としての人生を歩んでいく。

「あいつ今何してる?」は、同級会での好奇心と、普通の人として生きる物語が視聴者の共感を呼んでいるのではないか

#コンテンツ会議 #コラム #テレビ #あいつ今何してる

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