あのとき食べた鉄板焼き
会いたくなる理由なんて、些細なこと。
あのとき課題だったチョコレートの広告を見たから
みんなで飲んでたコーンポタージュの季節になったから
インタビューしたアイドルが爆発的に売れてるから
この居酒屋で馬鹿みたいにみんなで飲んだくれたから
そんな理由じゃ駄目なのか。
一瞬が、ちょこっとずつ、蓄積される。
チョコレート食べながら書いたコピーと配置された画像が、今でもキラキラ光って見える。
あのアーモンドチョコレートが食べたい。金色の包み紙をはがして、頬張ってやりたい。
寒い造りの建物の中で、温かいコーンポタージュが沁みる。冬にしか飲めない味。
最後に底にいつまでも居座る粒コーンに苛立つ、早々にゴミ箱。
名前も知らないアイドルが、気付けばテレビで見ない日なんてないのだね。
その千里眼には、脱帽。
何かを見抜く才能は、全員抜きん出て、それが楽しくて。
馬鹿馬鹿しい企画め、嫌々と唱えたが、人生の武勇伝とは、このことかと、酒に溺れて肴に溺れて。
勇士を忘れるはずがないでしょう。
何処かも分からない鉄板焼きが食べたくなった。