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1人目の客になれた話 東本願寺門前編

 趣味はオープンしたお店の1人目の客になることです。趣味というのは、続けていると、次第に始めた頃の面影は薄くなり、気づけば勝手に思いもよらないような成長を遂げているものです。いつの頃からか、私は選挙の投票を1人目にすることさえ趣味にしていました。もう1人目であればなんでもいいということになっています。設置された自動販売機で1人目にアイスコーヒーを購入したこともありました。展覧会の1人目の客に挑戦したこともあります。今年の年始は京都市動物園の令和4年1人目の客を目指して失敗しました。

 今日はイオンモールKYOTOで大人も子供も楽しめるイベントが開催されます。1人目の客になってやろうと思い、行ってみたものの、1階のセンターコートで開かれているそのイベントは、明確な「入口」と呼べるものがなく、12時開始ということでしたが、12時前に既に会場は関係者らしき人たちがたくさんおられ、お買い物をしにこられた人たちも立ち止まったりしていたので、何をもって1人目の客とするのか、よくわからなくなったので、やめにしました。「タクシーフェス」っていうイベントで、京都でよくみるあのタクシーの四つ葉のやつの運転席に乗車して写真が撮れたり、その会社とは別のタクシー会社のタクシーのボディに落書きができたり、似顔絵を描いてもらえたり、なかなか楽しそうなイベントでした。私も子供ならよかったのに。中身は子供みたいなもんなんですが、さすがにあの場所で「僕、まだ中身は子供なんです!」というほどには子供ではないのでした。中途半端な大人やで。

子供たちが落書きしたタクシー。
後日実際に走るらしい!


 さて。
 このまま中途半端な大人で終わるつもりはないくらいに私は成熟した大人です。昨年末、本職のほうで(ラジオの仕事やってます)東本願寺門前エリアの魅力を紹介する番組を担当させていただきましたご縁で、「おひがしさん門前未来プロジェクト」の方から情報をいただき、本日17時30分より、東本願寺の門前で夕涼みイベントがスタートすることを知りました。これまた、果たして何をもって「1人目の客」とするのか、という話になってしまうのですが、会場に行けば答えは見つかるだろう、行けばわかるさ、迷わず行けよ、というわけで、闘魂の燃えてきた私は、夕方4時半すぎに四条烏丸を南下して東本願寺へと向かいました。

 私は実家が浄土真宗大谷派でして、これもいわゆる一つの宗教2世なのでしょうか。そんなことを言い出したら2世どころの話ではないのですが、やはり、不思議なもので、真宗大谷派本山の東本願寺は実に落ち着く場所なのです。心の故郷といいましょうか。御影堂門の前に立つと「ただいま帰りました」という気分になるのは、我が家の門も御影堂門並みのゴージャスさだからなのかもしれません。上沼恵美子みたいなこと言ってごめんなさいね。

 御影堂門前に到着すると、私に情報をくれた「おひがしさん門前未来プロジェクト」の方がおられまして、私の真っ赤な「1人目の客Tシャツ」についてお褒めの言葉をいただき、他のプロジェクト構成員の皆さんにも、私の趣味を説明してくださいました。「そういうの、大好きです!」とおっしゃってくださる方もいて、仮にこれが東本願寺ではなく、なんのゆかりもないカルト宗教のイベントだったとしても、この人のことは好きだなと思いました。私みたいな人が心の隙間を狙われるんでしょうね。

 さて。17時から東本願寺境内で大がかりな放水訓練が行われたあと、17時30分からイベントは始まるのですが、果たして何をもって「1人目の客」とするか問題です。これについても、スタッフの方が「あそこのテントでクラフトビールやコーヒーなんかを販売するので、あれを1人目に買うというのはどうでしょう」とご提案いただき、私はその提案に乗ることにしました。「ギリギリなんとか天気も持ちそうでよかったですねー」なんてテキトーなことを話しながら、私がテントの前に待機をしていますと、17時を過ぎ、境内では放水訓練が始まったらしく、その辺にいた人たちがみんな境内へ入っていきましたが、私の目的はテントで1人目に注文することです。テント前でスマホに文章を打ち込んでおりますと、大粒の水がポタポタと落ちてきました。大がかりとは聞いていましたが、御影堂門前の歩道沿いのテントの前にまで水が放たれるとは相当な規模やのーと思っておりましたら大粒の雨でした。雨足がどんどん強くなってきたので、興味本位でいったんテントを離れ、境内を覗いてみると、雨にも負けず、飛沫が白色に見えるほどの強烈な放水に人の輪ができておりました。

雨中の放水訓練と人の輪


 雨が止み、テント内は次第に販売の準備が整ってきました。「虹がきれい!」と言う声が聞こえたので振り返ると確かに見事に七色のアーチ。「うお!ほんまや!」と私が唸ると、「虹がきれい!」とおっしゃった方は、もちろん、私に話しかけたわけではないので、私の声にビクッとされたのを私は見逃しませんでした。イベント初日、開幕直前の通り雨が虹を架けたのであれば、なんだか縁起がいいではないか。いよいよオープンというところで、日頃から大変お世話になっている職場の大先輩に声を掛けられました。番組でこのイベントを紹介したこともあり、来てみたら私が1人目の客として並んでいたらしい。御影堂門前で写真を撮っていただきました。

 8月5日・金曜日17時30分に幕を開けた「おひがしさん門前夏の夕涼みの会」の1人目の客は私です。


虹の彼方へ

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先輩に撮ってもらったやつ。ありがとうございます😭

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