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四条室町の躊躇い
四条室町の信号待ち。
車が通る気配はない。
タバコ屋の前で待っていた僕は、もう信号無視して向こう岸に渡ってやろうかと思いましたが、いや、しかし信号無視はいかがなものか、と躊躇っていました。いや、信号無視はいかがなものかと考えていたのは本当に最初だけで途中からは、「いま信号無視したら、"あ、あいつ、信号無視したらあかんっていうモラルを熟考のうえ捨てやがった"と思われるんじゃないか」という他人の目を気にして逡巡しておりました。
しかし、向こう岸から、私と同じ程度は躊躇っていたであろう会社員らしき男性が毅然とした態度で信号無視をしました。私は「先を越された!」と思いました。だって、この期に及んで私が信号無視したら「あいつ、自分のモラルでは無しとみなしてたくせに1人、堂々と信号無視したのを見て後に続きやがった。なんという薄弱な意志をもってやがるんだ」と嘲笑われます。誰に嘲笑われるのかといえば自分自身なんであります。そして先を越していったあの男にも「あー、あの人、僕が渡ったから渡ったんやなー」と勝ち誇られてしまいます。
こういう時にどうしてなのか、私は、自分の意志でもって衆人の監視をものともせず、信号無視を仕切ったあの男性のことをカッコいいと思ってしまいます。自分に欠けているものを持っている人のことは、それがどんなことであっても憧れの対象になり得るものなのだ。
#令和3年11月2日 #コラム #日記 #エッセイ
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