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10月14日週の新聞俳壇新聞歌壇チェック

 俳句脳と短歌脳を脳内に持続させるには俳句と短歌に常触れておくことが必要です。たぶん他のあらゆるものにも共通することだと思います。

10月14日週の新聞俳壇新聞歌壇をチェックします。

⭐︎10月14日の読売俳壇

●名月や間もなく子牛生まれさう
月の満ち欠けと生命の誕生には相関があるらしいですよね。

●爽やかといふ一言に尽きにけり
残暑から解き放たれた瞬間。爽やかっていう秋の季語はこうやって使うんですね!

●新米は先ず塩むすび大きめに
新米といえば塩むすび!確かに大きめを食べたい!

●もう一杯いいではないか月今宵
たぶんこのあと30回くらい「もう一杯」っていう。

⭐︎10月14日の読売歌壇

●自転車の前かごに蜘蛛が糸かけて揺れているから荷物入れない

蜘蛛にさえ優しい眼差しが好きです。

●町内に小さな喫茶開店し「じいちゃんより」と蘭の鉢あり

繁盛してほしいな。教えてくれたら1人目の客になりに行ったのに。

●「お父さん」「お母さん」などと呼び合っているのだけれど元は恋人

のび太のパパとママの若い頃にタイムスリップした話を思い出しました。

●虫の音のゆたけき畑へ歩めども吾子の視線の先のレクサス

親の思いを子は汲み取ってくれないのです。しかしそれでこそ子はすくすく育つのでしょう。

⭐︎10月14日の毎日俳壇

●百年の孤独積ん読秋暑し

積ん読って悪く言われがちですけど、そこに積んであるだけでも違うと思いますよ。秋暑しがいいですね。

●一番線ホームしかない駅の秋
●秋風や長きホームに一人降り

秋の原風景ってこんなんですよね。故郷の駅は無人駅です。

●野仏に明るすぎたる曼珠沙華

なんか花嫁より派手な来賓みたいな。

⭐︎10月14日の毎日歌壇

●お茶の間でみんな歌える歌を聞くそんな時代もあったねテレビ

実は意外と今もありますけどね。最近の音楽に私たちが耳を傾ければ。YOASOBIをバカにするおっさんはYOASOBI側に相手にされていないことに気づかないとYOASOBIをバカにすることでしかアイデンティティを保てない悲しいおっさんになってしまう。

●音楽にからだはゆれてそのあとですこし遅れて髪ゆれている

こんなリアリティあふれる描写を私も短歌でしてみたい。

●物語が終わった時の胸の中、紅茶を蒸らしているときのよう

終わったときの胸中が、まだ紅茶を蒸らしているときだっていうのがいいんです。ここからやで!

●お客様に謝る仕事大嫌い 泳いで帰るクレーム係

自分の機嫌は自分で取る。いいバランス加減で生きておられてうらやましい。

⭐︎10月17日の産経俳壇

●俯きて少年歩く秋の浜

何があったのか知りませんけど俯く少年には秋の浜が似合う気がします。

●さしてなき田にも来てをり稲雀

近頃雀は少なくなって絶滅危惧種になりつつあるとか。雀の姿を見るだけでもホッとします。

⭐︎10月17日の産経歌壇

●吾の話そんなにつまらないかしら夫の相槌だんだん遅れて

この夫みたいになる時があるので反省しました。

●穏やかな秋の訪れ願いつつ蝉の亡骸踏まずに歩く

一種のおまじないですよね。亡骸とはいえ踏んづけていくのは罪悪感があります。ささいなことでも悪いことをしないことで穏やかな秋を願う。私も真似してみよう。

⭐︎10月19日の日経俳壇

●ばかたれにつけるくすりこゐのこづち

ゐのこづちっていうのは薬草なんだそうです。何かにめちゃくちゃ怒っておられるのが伝わってきます。

●ややこしい服を着ていく美術展

これは美術展が季語なんですかね。前衛的な美術展は前衛的なファッションの人が多いですよね。ややこしい服を着ていくぞって思っているうちはまだまだな気がします。

⭐︎10月19日の日経歌壇

●おすすめの情報ばかり生い茂り見えない森で迷子になって

こういう自覚のあるうちは迷子にはならないと思います。ネット相手はとにかく常に気をつけておくことです。

●歳なれば考えられぬ五年先されど星想う千億光年

年老いていくごとに星を想う気持ちは大きくなるのに寿命は近づいていくという、なんとも需要と供給のうまくいかない人生です。

⭐︎10月20日の朝日俳壇

●虚子塔を拝せし証草虱

さっき洗濯物を干してたら蚊にあほほど刺されまくりました。似たようなもんでしょうか。

●翼にも帆にもなれさう芭蕉の葉

私は諸葛亮孔明が手に持ってる扇みたいなやつを思い出します。

●引く網に躍る小鰯大鰯

小鰯大鰯のリズムも躍っていて気持ちいい。口にしたい一句です。

●卆寿なほ燃えるものあり曼珠沙華

何歳でくたばるにしてもその直前が人生のピークだといいなと思います。

⭐︎10月20日の朝日歌壇

●結婚し名字が変わると勝ち誇るように知らせる女の花園

こういう世界が未だ現存するのですね。世にも恐ろしい世界であります。

●夢くらい派手でいいのに昨晩も一昨日も石を河原で投げてた

途端に下世話な話になり申し訳ないのですが、自慰をする夢を見たときに同じような気持ちになります。大変申し訳ありません。

●多摩緑道歩めばベンチの待ちてをり文庫ひろげて木陰に憩ふ

ベンチが待ってくれているんですね。さっきから蚊に刺されまくっているので木陰に蚊がいないことを願います。

●「将来はヒズボラになる」と泣きながら父の屍のそばに座る子

こんな恨みの連鎖はどこかでなんとか途切れさせたいです。

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