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同性婚 札幌地裁判決について

令和3年3月21日の日記

「同性婚を認めない現行制度は違憲ー。17日の札幌地裁判決を受け、「結婚の自由をすべての人に」とのスローガンを掲げてきた原告団は「大きな一歩」と評価し、喜びを分かち合った。」(3月18日「毎日新聞」)

私の身の回りの人たちも、みんなこの判決を評価している。信頼している大人たちが評価していることは私の判断材料にもなる。自分自身、よかったんじゃないかしら。と思っているのだが、こういう時に大切なのは、反対意見に触れることだと思う。インターネットは自分にとって都合のいい情報しか入ってこなくなる(エコーチェンバー現象というらしい)から、意識的に逆の意見を探さないといけない。そんな時、私にとって役立つのが「産経新聞」だったりする。

3月18日の1面コラム「産経抄」が、まさに今回の判決に異を唱えていた。
「札幌地裁は、同性同士の結婚が認められないのは、法の下の平等を定めた憲法14条に反すると判断した。では憲法24条はどうなるのか。「婚姻は、両性の合意のみに基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない」▶︎「両性」と「夫婦」が「男女」を意味するのは明白である。憲法は同性婚を禁止している。同性婚を可能にするために、憲法改正を求めていくという主張なら、筋が通っている」とある。

同性婚に賛成の立場からすると、正直、鬱陶しい理屈をこねとると感じてしまうが、私なんかは多分に「同性婚が認められてほしい」「不遇がなくなってほしい」という感情に流されて同性婚に賛成しているから、産経抄の意見は感情が無いように見え、「てめえらの血は何色だい!」って感じの憤りが芽生えるわけであるが、感情の部分を置き去りしたうえで読めば、理屈は通っているように思う。

最初に引用した「毎日新聞」の記事によれば、「民法や戸籍法は、婚姻は異性間でなければできないと規程している。憲法24条は「両性の合意」「夫婦」など異性の男女を想起させる文言を用い異性婚について定めたもので、同性婚に関して定めたものではない。民法などの規定が同性婚を認めていないことが、憲法24条に違反すると解することはできない。」とのことだが、とりあえず、産経抄とこの毎日新聞の記事を読み比べてみれば、産経抄のほうが理屈は通っているように思う。ただ、今回、その理屈を曲げてまでも、時代の流れに合わせた判決を札幌地裁の武部知子裁判長が言い渡した。それなら憲法改正を主張しなさいとする産経抄の理屈も正しいと思うし、14条を持ち出して、24条とも辻褄を合わせる解釈を持ち出した判決も支持されるべきだと思う。なんやねん、おまえは結局どっちつかずかい!と言われれば、その通りである。どっちつかずは別に悪いことではないと思う。ただ、心情としては、今回の判決に賛成である。

つくづく、国は憲法で動いているのだと思う。裁判は感情ではなく、憲法で動かないといけない。

今回の判決で気になったので、辞書にはどう表記されているか、調べてみた。

『広辞苑』第七版
「結婚」男女が夫婦となること。→婚姻
「同性婚」の記述はなし。
結婚は男女がするものというスタンスである。産経抄と同じだ。

『新明解国語辞典』第八版
「結婚」(正式の)夫婦関係を結ぶこと。(法律的には婚姻と言う)
「同性婚」同性の人同士でする結婚。
こちらは「同性婚」の記述がありました。
「結婚」のところにも「男女」と明記はされていないが、「夫婦」の項目を見てみると、
「結婚(同棲)している一組の男女」とあった。まあ、そりゃそうか。

『岩波国語辞典』第八版
「結婚」夫婦となること。夫婦関係を生じさせる法律行為。
「同性婚」の記述はなし。
「夫婦」は「夫と妻。結婚している一組の男女。」

『三省堂国語辞典』第七版
(広島東洋カープ仕様)
「結婚」男性と女性が、正式の夫婦関係をむすぶこと。(法律用語は「婚姻」。海外では、同性婚もある)
「同性婚」=同性の結婚
こちらは海外に同性婚があると書いている。国内では認められていないと書いているといえる。ただ、これは2019年3月発行(カープ仕様でない第七版は2014年)なので、当時から同性婚について記述しているところが面白い。

『明鏡国語辞典』第三版
「結婚」男女が夫婦になること。婚姻。
「同性婚」の記述はない。
これは意外な結果。思ったよりシンプル!


今回の判決を受けて、次回の改訂の際は、おそらく全ての国語辞典が「結婚」についての表記を変えるのではないか。こうして社会と連動して言葉の意味は変わっていく。言葉が変わることによって社会が変わることもあるだろう。そのどちらの動き方に対しても敏感で寛容である姿勢と、慎重であることへの敬意と、そのバランス感覚が大切なのだろうね。

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