見出し画像

冬至はオリノコ風呂

涌井家では毎年、冬至の日に浴槽にエンヤを立てて無病息災を祈願する「オリノコ風呂」に入るのが習慣になっています。

この投稿をするようになり、はや10年が経ちました。生まれたばかりだった長男が小学5年生になり、いまは合唱団に入団しています。練習終わり、日が暮れていたら迎えに行っているのですが、先日は20分ほど待っても全然出てこないのでどうしたのかと思っていたら、入れ違いで1人で家に帰っておりました。どうやらトイレを我慢していたらしいのですが、それにしても随分成長したものです。

10年前、まだ生まれていなかった次男は小学1年生になりました。自分のことを「ワクイ」といいます。ニンテンドーSwitchでたまに一緒に遊びますが、大乱闘スマッシュブラザーズなんて全く勝てません。子の成長を感じるとともに己の衰えも痛感します。ゲームのやり方を新しく覚える気力がどうしても湧かないのです。日頃、学びを止めた人のことを軽蔑しているくせに自分も結局、自分にとってさほど価値を認められないものに対しては学ぶ姿勢が失せてしまっているのです。私は実に恥ずかしい人間です。これならハナから学びを止め、開き直っている人のほうが潔い。それに気付いてしまった今、ゲームのやり方を覚えるほうに舵を切るのか、それとも開き直るほうへ向かうのか。残念ながら自分の進む方向はもう決まっています。
実に恥ずかしいことです。

どれだけくだらないことであっても、まっすぐに取り組んでいるのであれば、それはきっと尊いことです。だから冬至の日に浴槽にエンヤを立て掛けることも、誇らしいことであるといえます。毎年同じことを続けていると、家族の歩みが思い出され、なかなかいいものです。10年続けているということは、涌井家ではこれはもはや「ならわし」になったといえるでしょう。20年30年と続けていけば、それは涌井家の「証」となり、長男や次男にも受け継がれていき、脈々と連なっていけば、やがて「伝統」になるでしょう。

冬至前にはエンヤが本物のエンヤであるかを確認する「エンヤ改め」の行事があり、親戚一同集まり、お神酒でも呑みながら、冬至の訪れを祝い、エンヤがちゃんと立て掛けられるかを確認する「立て掛け初め」の儀式を終え、いざ、浴槽に湯をはり、柚子を浮かべる「エニウェア柚子」を経て、晴れて「オリノコ風呂」が完成します。その頃にはご先祖になっている私に対して当主が「今年もつつがなくオリノコ風呂の儀を終えることができました」と報告するのが大晦日。報告のあと、部屋に飾りつけた簡易の
茅の輪を所作に従いくぐり抜けるのです。

このようなしょーもないことに思いを馳せることはできるのにゲームの操作方法を覚えられないのはゲームのことを取るに足らないものだと考えている証であり、日頃恥ずかしい人たちだと思っている人たちと同じ穴の狢である証でもあるのです。

#12月22日  #コラム #エッセイ #日記
#毎日note  #note日記 #毎日更新
#冬至  #エンヤ #ジャミロワクイ #ジャミロ涌井
#涌井慎

いいなと思ったら応援しよう!